ジェイテクトは、従来よりも3.5倍長寿命化した「長寿命スラスト針状ころ軸受」を開発したと発表した。スラスト針状ころ軸受は、コンパクトで比較的高荷重かつ高回転に使用できることから、自動車のトランスミッションやコンプレッサーなどに良く使われ、動力損失の低減に貢献するとされる。

「長寿命スラスト針状ころ軸受」

スラスト針状ころ軸受は軸受部品の構成上、ころ軌道の内外周で周速差が発生し、「差動すべり」が発生する。そのため、主にレース表面起点のはく離が発生しやすくなるという課題があった。

今回同社は、レース表面起点のはく離に対して、ショットピーニング工程を追加し、レース表面の高硬度化や残留圧縮応力を付与することで、はく離寿命を向上させた。一方、レースの強化でレースはく離に対する寿命が向上したため、ころはく離が発生することが予想されたため、ころに対しても特殊熱処理による強化を実施している。これらの結果、従来比で3.5%以上のはく離耐力向上を実現した。

レース表面と、ころのはく離耐力を向上させた

軸受の長寿命化により、従来レベルの寿命を維持したまま、コンパクトな設計ができるようになるため、車両の軽量化および燃費向上が期待される。また、同技術は従来加工工程への追加が可能であるため、現在量産流動中の軸受のサイズを変更することなく、長寿命化対応を実現できる。

なお、同製品は2020年から量産開始予定で、販売目標は年間144万個としている。