TrendForceの半導体メモリ調査部門であるDRAMeXchangeは、2018年のビット数基準の世界DRAM供給量は、近年のビット数量成長率としては低い部類の年率19.6%となるとの予測を発表した。
韓Samsung Electronics、韓SK Hynix、米Micron Technologyの3大DRAMサプライヤは現在、2018年の生産計画を立案する最中にあるが、DRAMeXchangeでは、3社すべてが2018年のDRAM製造のための設備投資に関して控えめであると見ている。その背景として、3社ともに、2018年のDRAM価格を2017年下半期と同じ程度に維持する方向で、生産能力と微細化を遅らせることを選択したとしており、それにより利益率を維持しようという意図を持っているようだとDRAMeXchangeでは説明している。
また、DRAMeXchangeは、2018年のDRAM需要について、ビット数基準で年率20.8%と見ており、供給量との差があることから、DRAMの供給不足は継続するだろうとしており、同社の調査ディレクターであるAvril Wu氏も「スマートフォンのメモリコンテンツの増加と、サーバやデータセンター市場からの手堅い需要が、2018年のにDRAM全体の需要が押し上げられるだろう」との見方を述べている。
こうした需給ひっ迫の状況の改善に向けた新工場の建設なども計画はされているものの、そうした大型投資は時間がかかるため、稼働は早くても2019年になり、歩留まりの向上なども考えれば、さらに時間を要する可能性もあるという。トップ3サプライヤの生産計画によると、2018年の各社のウェハ投入予定枚数は、前年比で5~7%程度の伸びであり、既存生産能力の最適化と、製造プロセスのアップグレードによるところが大きく、新工場の稼働、といった取り組みは見えてこない。
SamsungとSK Hynixの新工場が2019年に稼働見通し
トップ3サプライヤの生産能力に関するDRAMeXchangeの最新の分析によると、Samsungの月間ウェハ投入量は平均39万枚に達しているが、同社のファブで生産能力の拡大の余地があるのは、ライン17とライン15の一部のみであることもあり、韓国の平沢にNAND向けに続いて、DRAM生産を担当する300mmウェハファブを建設し、2019年より稼働させることを計画している。
一方のSK Hynixも、すでにDRAMの受注に対応できるだけの生産能力が不足気味となっている。M14ファブを、2017年末までに月間投入量8万枚を達成させる見通しであるが、それでも不足していることから、中国・無錫に300mmファブを新設することを決定。新工場の稼働は、2019年を予定している。
工場新設の計画を公表していないMicron
残るMicronだが、DRAMの生産能力についてDRAMeXchangeでは、広島にある工場(旧エルピーダメモリ)と台湾の子会社であるMicron Technology Taiwan(元はInotera)が所有する工場の両方がフル稼働状態にあるという。もう1つの台湾子会社Micron Memory Taiwan(元はRexchip)のA2ファブに若干、スペースの余裕があり、そこを活用することで、月産3万~4万枚の処理能力を増やすことができる見通しだが、現時点で同社は、そうした新規のライン構築に関する計画を明らかにしていないという。