Yoleグループに属するコンサルティング企業である仏System Plus Consultingは、AMDの最新ハイエンドGPUチップ「Radeon Vega(Frontier Edition)」に関するリバースエンジニアリング結果および製造原価推測レポートを11月に発行すると発表した。
同レポートの予備調査結果において、同社は、GPUのプロセスはGLOBALFOUNDRIES(GF)の14nm FinFETを採用したほか、複数の半導体チップを相互配線して実装するためのインターポーザもGFが製造を担当したものと予測している。また、パッケージ基板はイビデン製で、台ASEがチップを含む積層モジュールのアセンブリを担当しているが、Amker Technologyもセカンドソースとなっている模様としている。
また、同チップにはDRAMチップが8枚、TSVを用いて積層された8GB HBM2 DRAMメモリが2枚搭載されているが、これはSamsung Electronics製であったという。この結果について同社は、「HBMはSK Hynixが推進してきたメモリだが、現在、GPUを提供するAMD、NVIDIAともにSamsungと協業していることが示された。これは、SK Hynixが最終的に所定の仕様のメモリを用意できなかったことを意味する可能性がある」と指摘している。実際に、この動きを裏付けるように、Samsungは7月18日付で、8GB HBM2の需要増を理由に、増産をすることを公表している。
AMD Radeon Vega Frontier Editionマルチチップ・モジュールの構成図(左)と断面模式図(右)。このモジュール製造のサプライチェーンがわかるようにそれぞれの担当企業名が企業ロゴマークで表示されている (出所:System Plus Consulting) |
Samsungの発表によれば、8GB HBM2は、8層の8Gビットチップと1層のバッファチップが積層される形で構成されており、それらのチップ間は、同社のTSV技術とマイクロバンプ技術を用いて相互配線され、各チップには5000を超すTSVのビア(孔)があるという。
なお、こうした動きを受けてSystem Plusでは、「HMB2は、AMDかNVIDIAであるかを問わず、いまやハイエンドGPUグラフィックカードには欠かせない標準メモリとなっている」と結論づけている。