日本HPは21日、22日に開催されたオートデスクのカンファレンス「AU JAPAN 2017」にて、背負えるVR用PC「HP Z VR Backpack PC」を展示した。同製品はリュックのように背負って使えるウェアラブルPCで、米国ではすでに発売済み。日本での発売は未定となっている。
現地で実際に「HP Z VR Backpack PC」を体験することができたので、その感触をお伝えしよう。
「HP Z VR Backpack PC」のスペックは、CPUがCore i7 vPro、32Gのメインメモリ、GPUはNVIDIAの3D CG/CAD向けハイエンドGPU「Quadro P5200(VRAM 16GB)」となっている。バッテリーは交換式なので、ひとつ使っている間に予備を充電しておけば、充電切れで使えなくなるということはない。重量はバッテリーなど込みで約6kgだ。
6kgというとかなり重い印象を受けるが、リュック型ということもあり、実際に背負ってみるとそれほど重さは感じない。また、腰と胸のバンドをしっかり締めることで、重さはかなり緩和される。ただし、背中から下ろして手に持ってみると、やはり重量なりのずっしり感はある。
VRの世界に飛び込むためには、本体からケーブルで接続されたヘッドマウントディスプレイを装着する。今回は自動車のショールームを想定したVR映像を体験することができた。
写真でお伝えできないのが残念だが、目の前に現れたのは真っ赤な車。映像は非常に鮮明でクリア。リュック型なので自分自身が動き、色々な角度から眺めることができる。まるでそこに本当に自動車が置いてあるかのよう。写真や映像で見るだけでは伝わってこない感覚だ。リュック程度のサイズのウェアラブルPCで、これほど高品質なVR体験ができるのは驚きである。
これだけでもなかなか実用的だが、コントローラーを操作することで、自動車や運転席、ホイールなどの色を瞬時に切り替えられるのも便利なところ。たとえばそれぞれ3色ずつあったとすると、すべての組み合わせを見るためには、実車であれば27台もの数が必要になる。さすがにそんなスペースを用意するのは難しいが、「HP Z VR Backpack PC」であれば一台分のスペースすら必要ないのだ。
展示ブースの担当スタッフによると、「HP Z VR Backpack PC」は自動車販売店などの他、住宅展示場などさまざまな場所での利用を想定しているという。
米国での価格は3299ドル(約36万円)。VRのビジネス利用という点ではサイズなど含めてかなり現実的なソリューションであるように思う。日本での発売を期待したい。