三菱電機は9月22日、パワー半導体モジュールに搭載されるパワー半導体素子として、電流を高速に遮断する保護回路無しで使える、世界最小クラスの電力損失を実現したSiCパワー半導体素子を開発したと発表した。
同成果の詳細は、米国で開催された「ICSCRM 2017(The International Conference on Silicon Carbide and Related Materials)」にて9月21日に発表された。
同素子では、通常、単一構造で構成するソース領域にソース抵抗制御領域を形成する独自構造を採用することで、搭載機器の短絡発生時の電流を低減し、短絡許容時間を延ばして素子破壊を抑制することによる高信頼性を実現したほか、従来構造のSiC-MOSFETに対し、同一短絡許容時間において、室温における素子のオン抵抗を40%低減することに成功し、20%以上電力の低損失化を実現したとする。
同素子は、さまざまな耐圧のSiC-MOSFETに適用できるほか、Siパワー半導体ですでに確立されている短絡保護回路技術を併用することで、短絡時の安全な保護動作を実現可能であるため、同社では今後、素子の信頼性とモジュールとしての評価を進め、2020年度以降の実用化を目指す、としている。