Amazon.co.jpは9月20日、 法人・個人事業主向けの購買専用サイト「Amazon Business」のサービス開始を発表した。同サイトでは、企業の購買に必要な機能を提供する。Amazon Businessは既に米国、ドイツ、英国でサービス提供を開始している。
アマゾンジャパン 社長のジャスパー・チャン氏は、「これまでもあらゆる規模のニーズに対応する機能とサービスを提供してきたが、企業の購買における課題がわかった。Amazon Businessは、この課題を解決するサービスとなる」と語った。
チャン氏が挙げた購買における課題とは、「低価格で商品を購入したい」「購買状況を管理したい」「ビジネスに必要な商品を1カ所で購入したい」だ。
Amazon Businessにおいて、販売事業者は「法人価格」「数量割引」「法人限定出品」などの、企業に特化した機能を利用できることから、チャン氏は「Amazonマーケットプレイスの販売事業者に対し、国内外での新たな販売機会を提供できる」と述べた。
また、グローバルでAmazon Businessを統括するアマゾンドットコム ヴァイスプレジデント スティーブ・フレイザー氏は、2015年にサービスを開始した米国では、1年目で10億ドルの売上を達成し、今夏には顧客数が100万社を突破したと、同サービスの好調ぶりをアピールした。
顧客からは、「Amazon Businessを利用することで、購買に費やす時間を減らし、その分の時間を本業に当てることができる」といった意見をもらっているという。
Amazon Businessは2015年に米国でローンチされた後、ドイツと英国でもサービスの提供を始めている。フレイザー氏は「他国で学んだことを生かしながらも、各国のニーズもくみ上げて、サービスを提供している」と語った。
国内の事業展開については、アマゾンジャパン ディレクターの星健一氏が説明を行った。
Amazon Businessは今年3月から国内でテスト運用が開始されたが、テスト運用に参加した企業からさまざまな意見をもらったという。具体的には、「合い見積もりをとるのが大変」「各部署が業者を登録するので、それらを管理するのが大変」「各部署が購入する大量の物品を管理するのが難しい」といった内容だ。
Amazon Businessでは、「品ぞろえ」「利便性」「価格」といったAmazonのコアバリューに、「ソリューション」「サポート」を加えた5つの要素で、こうした企業の購買にまつわる課題を解決する。
「品ぞろえ」としては、2億種類以上の商品を提供するほか、法人限定商品もそろえる。ノートPC、プリンター、ネットワーク機器、ストレージ、文房具、家具などオフィス用品に加え、メンテナンス・リペア・オペレーションズ向け、自動車関連の事業者向け、大学や研究機関向けなど、幅広い規模・業態のニーズにこたえる商品を取りそろえている。
星氏は「利便性」を実現する機能として、「期間限定の配送特典」「請求書払い・見積もり作成」を挙げる。配送特典として、購入金額にかかわらず、「お急ぎ便」「お届け時指定便」が無料で利用できるほか、プライムマークのついた商品を翌日までに配送してもらえる。複数の販売事業者から購入した場合もまとめて請求処理が行われる。
「価格」については、同一商品を複数購入すると数量に応じて割引が提供されるほか、税込み価格に加えて税別価格も表示される。
「ソリューション」とは、「承認ルールの設定」「購買分析・レポート」「同一商品ページにおける複数業者の比較」を指す。
「サポート」については、専門スタッフが9時から18時まで(年中無休)で、電話/メール/チャットで受け付ける。
国内では既にアスクルといった業者がオフィス用品のECサイトを展開しているが、こうした競合に対する強みについて、星氏は「競合に焦点を当てるのではなく、あくまでも顧客に役立つことを考えている。例えば、数十万社の販売事業者と作りこむことで、2億種類以上という豊富な商品そろえを実現していながら、複数の業者から購入しても1枚の請求書で支払うことができる点はメリットとなる」と説明した。