写真 香取秀俊・東京大学教授(2015年4月に開かれた科学技術振興機構の理事長定例記者説明会で)

ナノテクノロジー分野で顕著な業績を上げた研究者に授与される「第14回江崎玲於奈賞」に、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の香取秀俊(かとり ひでとし)教授(52)がこのほど選ばれた。また、科学技術の研究・開発に貢献した関西の若手研究者に贈られる2017年度の大阪科学賞には、京都大学数理解析研究所の熊谷隆(くまがい たかし)教授(50)と、大阪大学大学院情報科学研究科の原隆浩(はら・たかひろ)教授(45)が選ばれた。

江崎玲於奈賞の授与組織である茨城県科学技術振興財団によると、香取教授の授賞対象は「光格子時計の考案、実証および高精度化」。現在、時間の単位「秒」は、セシウム原子時計で国際的に定義され、精度は3千万年に1秒の誤差が生じるレベルという。香取教授は、約100万個の原子を「魔法波長」と呼ばれる特定の波長レーザーで形成された「光格子」に閉じ込めることにより、現行の原子時計の精度をさらに数百倍から数千倍高めた「光格子時計」を発明し、「秒」の精度を飛躍的に高めた。

また、大阪科学賞を授与する大阪府と大阪市、大阪科学技術センターによると、熊谷教授の授賞対象は「複雑な系の上の確率過程と異常拡散現象の解析」。図形の一部と全体が似ている「フラクタル」などの複雑な図形構造での「異常拡散現象」と呼ばれる現象について数学理論を使って研究した。原教授の授賞対象は「ネットワーク環境上のデータ管理と社会センシングに関する研究」。近年著しく高度化しているネットワーク環境のデータベース技術に着目。人工知能(AI)を活用してSNS(会員制交流サイト)のデータ解析研究を進めた。

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