情報通信研究機構(NICT)と早稲田大学は9月14日、光通信において波長多重伝送をはじめ将来のマルチコアファイバなどの多チャネル光信号の一括受信を可能とする集積型受光素子を開発したと発表した。
同素子は、並列に並べられた32個の受光部で電気信号を取得。後段の信号処理回路へ並列に伝送後、一括処理され、受信した情報を得ることで、高速処理することが可能となった。
また、従来は、マルチコアファイバの各コアとシングルコアファイバを接続し、それぞれのシングルコアファイバと受信器を接続しているため、コア数分の受信器が必要であったが、今回の研究では、マルチコアファイバのコアと受光素子内の受光部の配置を合わせることで、光受信器1台で多くの光信号を受信することが可能であることを確認したほか、マルチモード(3モード)による一括同時受信にも成功したとのことで、将来の光ファイバ用超小型受信器の実現性が確認できたとする。
さらに、同素子は2次元面上に到来する赤外光の強さと位相差を計測でき、イメージセンサやレーザ測距などへの応用も期待され、特にCCDイメージセンサと比較して約1000倍~1万倍高速な10GHz以上で並列動作し、集積数を高めても動作速度への影響は小さいことから、フレームレートの高いイメージングなどに有効だとしている。
なお、NICTでは、同素子の実用化に向けて、さらに集積度の向上や小型パッケージ化なおに取り組んでいくとしているほか、光通信分野以外のイメージセンサやレーザ測距などへの応用も開拓したいとしている。