米国の中堅半導体企業でFPGAベンダとして知られるLattice Semiconductorは2017年9月13日(米国時間)、カリフォルニア州シリコンバレーに本拠を置く中国資本の投資ファンド「Canyon Bridge Capital Partners」による同社の買収は、トランプ米大統領が発令した大統領令を受けて、破談になったと発表した。
Latticeは、すでに2017年9月1日付け(米国時間)で、アメリカ証券取引委員会(SEC)に対して、「米国の外国投資委員会(CFIUS)が、Canyon BridgeによるLatticeの買収について、中止または禁止することを米国大統領に勧告した」ことを報告していた。
LatticeとCanyon Bridgeは2016年11月4日(米国時間)、Canyon Bridgeの企業買収専業子会社Canyon Bridge AcquisitionがLatticeを13億ドルで買収することで最終合意に達したと発表していたが、シリコンバレー生まれの投資ファンドを装うCanyon Bridgeのバックには巨大な中国国策投資ファンドがおり、「米国政府が今回の買収を承認する可能性は低いのではないか」との見方が米国内の業界関係者の中では当時から囁かれていたが、その通りになったといえる。
なお、今回の件については、ことさらにトランプ米大統領による阻止が強調されて報道されている面があるが、仮に別な人物が大統領であっても同様な大統領令を出していたものと思われる。中国資本が米国企業を買収しようという動きが増加するにつれ、トランプ政権の政治的圧力も強まり、CFIUSの審査が強化されており、今後の中国資本の米国進出はさらに困難になることが予想される。また、今回の動きを受け、現在、米国企業などが進めようとしている東芝メモリの買収が合意に至ったとしても、中国政府による独占禁止法などの審査が長引く可能性も懸念される。