東京医科歯科大学(TMDU)は、米Guardant Healthと業務委託契約を締結し、同社が開発したがん患者の血液サンプルによる73のがん網羅的遺伝子検査「Guardant360」を含んだ医師主導臨床試験「PROFILE試験」を開始し、プロトコールに基づいて検査を行ったと発表した。
従来のがんゲノム検査では、患者のがん細胞を生検などで採取して検査を行う方法が主流だが、この検査では患者から血液サンプルのみを取り、血液中の「遊離DNA」、つまり血流内に排出された、死んだがん細胞由来のDNAを解析することで、がんゲノム変異を調べることができることから、新たな治療法の発見などにつながることが期待されている。血液からの検体採取は、組織を採取する生検よりも非侵襲的であり、がん細胞を採取する痛みや検体採取を行う時間を軽減・短縮することができる。
この検査法は、リキッドバイオプシー(血液による生体検査)とも呼ばれ、現時点では組織からの遺伝子解析を置き換えるものではなく、相補的な役割と考えられるが、米国の非小細胞肺がんNCCNガイドラインでは、組織からの繰り返しの生検が困難な場合は、リキッドバイオプシーを考慮する指針が出され、他のがんでの活用も米国を中心に期待が高まっている。
同大学医学部附属病院では、今回診療中のがん患者が PROFILE試験のプロトコールに基づいたリキッドバイオプシーの国内初のケースとしてこの検査を受けたとするほか、その結果は2週間以内に主治医のものへと届けられる予定だとしている。