ルネサス エレクトロニクス(以下ルネサス)と車載用ソフトウェアのリーディングカンパニーであるCogent Embedded(以下コージェント)は、次世代の自動駐車システムに向けた3Dサラウンドビューソリューションの開発で協業することを発表した。

ルネサスとコージェントが自動駐車システムの普及に貢献

同ソリューションは、低消費電力な車載情報・ADAS用SoC(System on Chip)「R-Car V3M」と、コージェントの3Dサラウンドビューソフトウェアで構成されるもの。R-Car V3Mは、ADAS・自動運転に向けたプラットフォーム「Renesas autonomy」のソリューション群のひとつで、R-Car V3Mに内蔵される低消費電力を実現する専用のひずみ補正ユニットであるIMR(Image rendering Unit)とコージェントのソフトウェアとにより、GPU(Graphics Processing Unit)なしでも、低消費電力で普及帯価格の3Dサラウンドビューの実現が可能となるため、エントリークラスまたはミドルクラスの車へ、3Dサラウンドビューシステムの搭載が容易になる。

今回開発された3Dサラウンドビューソリューションは、コージェントによる3Dサラウンドビューソフトウェアをもとに、R-Car V3M向けに最適化されたものとなっており、ユーザによる高度なカスタマイズも可能で、コージェントによる受託開発が可能だという。また、R-Car V3Mは低消費電力ながら、リアルタイムな360度サラウンドビュー機能を実現可能で、視点を自由に変えることができる。さらに、画像の絵づくりや認識処理向けにセンサ信号の変換処理を行うISP(画像センサ信号処理エンジン)が搭載されているので、ISPを搭載しない廉価なカメラを用いてシステムを構成することでBOM(bill-of-materials)コストの低減をすることができるという。そのほか、専用の画像認識エンジンであるIMP-X5も搭載されているため、駐車枠や歩行者、障害物検知などの認識機能も有しており、これらの機能によりユーザは、3Dサラウンドビューシステムだけでなく自動駐車システムへの発展が可能になっているということだ。

コージェントのアルテミ・イヴァノフ社長は次のように述べている。「我々はルネサスとの協業を非常に喜んでいます。ルネサスのR-Car V3Mは、3Dサラウンドビューのみならず歩行者検知、横断歩道の警告、レーントラッキングといった我々が提案する最先端の認識技術にも対応しており、エントリークラスからミドルクラスのシステムでも効率良く動かせる一連の機能を有しています。低消費電力かつコストに優れるR-Car V3Mとロイヤリティ無料の当社ソフトウェアを採用すれば、自動車メーカーは低価格帯のクルマにサラウンドビュー機能を搭載できるようになるでしょう」

同ソリューションは、SoCはルネサスから、またソフトウェアはコージェントから、12月より提供予定となっている。なお、ルネサスは、9月19日~20日にベルギー・ブリュッセルで開催される「AutoSens 2017」へ出展し、3Dサラウンドビューソリューションのデモを披露するということだ。