IDC Japanは9月13日、国内ITサービス市場予測を発表した。これによると、同市場は2017年以降も低率ながら成長を継続し、2021年には5兆7764億円となり、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR)は1.1%になるという。
同市場は、2009年から2011年まで世界的な金融危機と景気後退、さらに東日本大震災の影響を受けて3年連続でマイナス成長が続いた後、2012年から4年連続でプラス成長を実現した。この間の成長を支えたのは、企業の業績回復を背景とする既存システム更新・拡張需要に加えて、金融機関におけるシステム統合・更新や、官公庁・地方自治体での支出拡大、小売業における店舗システム刷新といった大規模なプロジェクトだったと指摘。
2016年に入り、これらの大型案件が一段落したことで、成長率が鈍化したいう。2017年以降の国内ITサービス市場は、クラウドやIoT(Internet of Things)、コグニティブ/AI(人工知能)システムなどの第3のプラットフォームやデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資が徐々に存在感を強めていくものの、予測期間の前半においては、依然として従来の第2のプラットフォーム向けITサービスに関する支出が市場を支えると想定している。
第2のプラットフォーム向けITサービス支出の縮小傾向が強まる一方で、SaaSを中心とするクラウドや、BPOなどのITサービスの代替製品/サービスの影響力は強まっおり、国内ITサービス市場は大きな変革期に入っているという。
同社のITサービス リサーチマネージャーである木村聡宏氏は「DXに対する取り組みは、成功が約束されているわけではない。ITサービスベンダーがDX時代に存在感を高めるためには、業界や組織の壁を越え、スピード感を持って果敢に試行錯誤を重ねることが必要である」と分析している。