岡山大学は、2020年より始まる小学校のプログラミング必修化に向けて、どのようなプログラミングとの出会い方が、子供の興味関心を高めるのかの調査を実施。その結果、プログラミングに取り組むことの価値認識の程度(課題価値)の面において、集団で講義を受ける方法や、友達と一緒にプログラミングを行う方法などに効果が認められたと発表した。

同研究は、岡山大学大学院教育学研究科の岡崎善弘 講師ならびにロジックラボの大角茂之氏、駒沢女子大学人文学部の倉住友恵氏、岡山大学教師教育開発センターの三島知剛氏、青山学院大学社会情報学部の阿部和広氏らによるもの。詳細は、7月26日付けの日本教育工学会の学術雑誌「日本教育工学会論文誌」に早期公開され、原著論文は9月末に掲載される予定だという。

総務省は、青少年がプログラミングに出会い、プログラミング学習を継続するステップを(1)動機付け:プログラミングを楽しんでもらう、(2)継続的な学習、(3)深化、の3段階にまとめているが、プログラミングに初めて出会った際に、「楽しい」「またプログラミングしてみたい」と思わなければ、次の段階に進まないことが予想されることから、今回、研究グループは、どのような出会い方をするのがプログラミング学習の継続につながるのかを62名のプログラミング未経験の小学生を対象に研究を行ったという。

具体的には、約20名ずつ、「ワークショップを受ける講義型」、「友達と2人でテキストを見ながらプログラミングをする協同型」、「1人でテキストを見ながらプログラミングをする個別型」、の3タイプに分けて、約80分にわたるシューティングゲームのプログラミングを学習してもらい、参加前後において、「プログラミングは自分にもできそうだという期待の程度(成功期待)」と「プログラミングに取り組むことの価値認識の程度(課題価値)」の2つの観点から調査を実施した。

各タイプの効果を比較した結果、成功期待に関しては、3タイプともに効果が認められたものの、課題価値に関しては、講義型および共同型の2タイプのみ効果が認められたという。

今回の結果を受けて研究チームでは、子供向けのプログラミング書籍も増えているが、単にそれを子供に買い与えるだけではやる気が高まらず、継続しないことが示唆され、親が分からないから書籍を買い与えるだけでは不十分といえ、ワークショップに参加できない場合であっても、友達や保護者と一緒にプログラミングを行い、プログラミングを行ったという結果を他者と共有することが継続する意欲につながることが示唆されたと説明している。

各体験形式における成功期待の尺度得点 (出所:岡山大Webサイト)

各体験形式における課題価値の尺度得点 (出所:岡山大Webサイト)