ユニアデックスは、住友精密工業と共同で、高圧クーラントポンプの故障予兆・検知を行う実証実験を9月から開始することを発表した。
従来、設備機械の設備保全は、専門家がさまざまな計測器などを用いて診断し保全する状態基準保全(CBM)が行われてきた。しかし、コスト上の制約から、多くの設備機械に対しては故障の発生が予測される周期で設備のオーバーホールを行い、消耗部品を交換する時間基準保全(TBM)が行われている。また、一部の現場では、熟練工の定年退職などによって技術の継承や人材不足といった課題を抱えている。
これらの課題を解決するため、ユニアデックスはさまざまな設備で手軽に適用できるIoT/機械学習による稼働監視・設備診断サービスの実現を目指して研究開発を進めてきた。
この実証実験では、住友精密工業は高圧クーラントポンプが故障に至る推移を検証するための装置・環境を構築し、ユニアデックスは回転機械を対象としたIoT/機械学習による稼働監視・設備診断サービスを適用する。これらを3ヶ月間にわたり連続稼働させることで、高圧クーラントポンプが故障に至る過程を、IoT/機械学習によって適切に検知できるかを検証する。
実証実験では、センサーを用いて振動などのデータをモバイル回線経由で収集し、クラウド上の稼働監視・設備診断サービスを用いて設備の異常度を分析・表示する。設備診断の複雑な分析結果を数値化して表示することで、設備診断の専門知識がなくても一定の診断を可能にする。
これにより、設備機械のダウンタイムを最小に抑えるなどの適切な状態基準保全(CBM)の実現に寄与するとともに、診断に掛かるコストや要員確保の問題解決にも期待できる。さらに、こうしたメリットを設備保全担当者に提供できるうえ、自社製品の利用・故障状況をモニタリングすることで、製品生産計画の最適化やニーズに合った新製品の企画などに利用できるということだ。
なお、ユニアデックスは、これまでの研究開発の成果を活かし、モーター・ポンプ・コンプレッサー(空調・冷蔵機)などの回転機械向けのIoT/機械学習による稼働監視・設備診断サービスを、日本ユニシスグループで提供するIoTビジネスプラットフォーム上で、今秋に提供開始予定となっている。今後は、回転機械にとどまらず、さまざまな産業設備・機械に対する稼働監視・設備診断のIoT/機械学習化に向けて研究開発を進めていく構えだ。