Agilent Technologiesは、9月6日から8日にかけて幕張メッセにて開催されている分析機器・科学機器専門展示会「JASIS 2017」に出展、それに併せる形で製品開発の責任者らが来日し、出展製品の概要や最近発表された製品の開発背景などを説明した。
説明の中心となったのは、同社が6月に発表したばかりの液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)「Agilent Ultivo LC/TQ」について。同製品は、アジレントが定期的に行う、顧客へのインタビューから吸い出された課題を解決するために開発されたもので、主に「設置面積の縮小」「メンテナンスの簡易化」「操作性のシンプル化」といった3つの課題解決に注力しているという。
「まずはサイズに驚く来場者が多い」と展示会での様子を担当者は語る。製品画像からわかる方も多いと思うが、横幅がA4サイズのPCとそう変わらない。具体的に、現行モデルの標準的な「6460 LC/MSシステム」と比較すると、これまでLC/MSを1台設置していた面積で、3台~4台の設置が可能であり、同じラボスペースに設置できる機器が増加することは、生産者にとって大きなメリットとなるだろう。
また、93%の顧客が要望していたという、メンテナンスの簡易化の実現のため、従来は製品の上側からしかできなかったメンテナンスを、同製品では横から行えるようにした。これにより、ユーザー自身が、サービスマンを呼ぶことなく容易なメンテナンスを行うことができるようになり、コンポーネントの変換であれば5分もあれば作業を終えることが可能になったという。そのほか、イオンインジェクタの交換の際も、高真空状態の維持を可能とする独自技術「VacShield」の採用により、改めて真空引きをする必要なく機器を稼働させることができるため、メンテナンス時間を削減することができるようになっている。
さらに、近年は質量分析を活用する領域が拡大、そうした新興領域では、熟練の解析者を多量に用意することが難しく、初心者でも使いやすいユーザインタフェース(UI)の搭載が求められていたことから、システムのUIをカスタマイズできるように改良、必要な機能だけを表示させることで、作業者が、どの操作をすればよいのかということを分かりやすくした。すでに特定分野に向けては、よく使う機能だけをあらかじめ設定しておくパッケージのようなソリューションを用意済みとのことで、今後もそうしたパッケージの種類を増やしていく検討は継続して行っていくとしている。
同社のJim Yano (Vice President, Mass Spectrometry Marketing)氏は、同製品に関し「今後の質量分析市場を担う存在となる」と説明しており、今後、同社のトリプル四重極LC/MSには、すべてUltivoの名が付与されるようになるだろうとしていた。