熊本県、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の3者は9月6日、ICTを利用して熊本県大津町の学校と台湾・高雄市の学校を結ぶ「ICTつながる学校」により、新たな文化や教育の国際交流の実現を目指す共同事業を10月5日から2018年3月下旬までの予定で実施すると発表した。
ICTつながる学校は、熊本と高雄の学校にテレビ会議システムなどの映像視聴環境を導入することで、リアルタイムかつ臨場感のあるコミュニケーションを実現する仕組み。この仕組みの導入により、両校の生徒が積極的に国際交流を図り、グローバルな感性の醸成に貢献するとしている。
ICTつながる学校は特徴として、等身大の大画面による臨場感のある映像環境(「つながる学校」)、スムーズな翻訳による円滑なコミュニケーション(翻訳支援)、フリースペースのテレビ電話による接続(「つながる廊下」)の3点を持つ。
等身大の大画面による映像環境では、フルHDのTV会議システムと170インチの画面を教室に導入することで、あたかも同じ空間で一緒に授業を受けているような、臨場感ある国際交流授業環境を実現する。
翻訳支援では、互いの言語(音声・テキスト)をスムーズに翻訳して伝え合う交流支援機能の提供により、新しい交流授業の形態や生徒間コミュニケーションを支援する。
フリースペースのテレビ電話による接続では、廊下などお互いのフリースペースの空間をセットトップボックスである「光BOX+」を利用するテレビ電話でつなぎ、55インチのTVモニタに映像を映し出すことで、授業以外の場においても生徒間の自発的な交流によるコミュニケーションの活性化につなげるとしている。
今回の共同事業における3者の役割として、熊本県は共同事業の全体調整及び実施自治体である大津町と高雄市に対する支援、NTT西日本はつながる学校・翻訳支援・つながる廊下それぞれの利用環境を提供するとともに、熊本側の現地システム構築とシステム運用サポート、NTT Comは、同社グループ企業である台湾NTTを通じた台湾側の現地システム構築とシステム運用サポートを、それぞれ担う。
実施校は、熊本県大津町立室小学校および、台湾・高雄市の大同國民小學。なお、今回の共同事業には、高雄市の子供たちとの触れ合いを通して熊本の子供たちに元気を取り戻してもらうことで、熊本地震からの創造的復興につなげたいとの意図もあるという。
3者は今回の検証で得られる知見を生かし、ICTを用いた遠隔授業や国際交流に関する取り組みを加速するとともに、2019年に熊本県で開催予定の国際スポーツ大会での利用や観光振興など、幅広い分野への応用につなげていく方針だ。