ICT総研は9月6日、混雑環境におけるスマートフォン動画視聴品質調査の結果を発表した。同調査は、同時接続によるネットワーク混雑状況における動画視聴品質および通信速度の実態を把握することを目的としたもの。
調査では、ネットワークが混雑している状況という点を重視するため、東京、名古屋、大阪の主要な待ち合わせ場所30地点を測定地点とし、測定時間を昼の混雑時間帯(11:30~13:30)、夕方の混雑時間帯(17:00~19:00)に限定。測定の際は、1事業者あたり10台の端末を同時に接続した。
調査対象は、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクのMNO3事業者、楽天モバイル、OCNモバイルONE、IIJmio、mineo、BIGLOBE SIMのMVNO5事業者で、各社のSIMをiPhone7に挿す形で調査が行われた。
動画は、同社が調査用に作成したもの(4Kの解像度で120秒間)を利用、通信速度の測定にはアプリ「RBB SPEED TEST」を利用した。
動画視聴品質の実態として、「動画再生可否割合」「動画再生停止時間割合」「動画再生開始待機時間」「動画ダウンロード所要時間」の4つの指標で結果がまとめられた。
「動画再生可否割合」は、MNO3事業者は全地点、全端末で動画の再生に成功し、動画再生成功率100%を記録した。一方、MVNO5事業者は、mineoが動画再生成功率100%を記録したが、OCNモバイルONEが成功率83%にとどまったことなどが影響し、平均96.0%となったという。
次に、動画再生ボタンを押してから実際に動画の再生が開始されるまでの待機時間と動画再生中に停止していた時間を「動画再生停止時間」と定義し、全体に占めるその割合を調査。MNO3事業者は平均2.0%だったのに対し、MVNO5事業者は5.2%と約2.6倍を記録した。こちらも、MNO事業者間で差が見られないが、MVNOではOCNモバイルONEが8.4%、BIGLOBE 5.4%、IIJmio 5.1%など、事業者によって差が見られたという。
「動画再生開始待機時間」(動画再生ボタンを押してから動画が実際に再生開始するまでの所要秒数)については、MNO3事業者の平均が2.4秒であるのに対し、MVNO5事業者の平均は5.7秒と、約2.4倍の差が見られた。
「動画ダウンロード所要時間」(実際に動画再生が開始されてから、ダウンロードバーが完了の位置まで移動するまでの所要秒数)については、MNO3事業者の平均が6.2秒であるのに対し、MVNO5事業者の平均は33.5秒と大きな差がついた。
下り(ダウンロード)の通信速度は、MNO3事業者の平均が12.5Mbpsであるのに対し、MVNO5事業者の平均は2.3Mbpsと、明確な差が見られた。同社は、今回の調査で下り通信速度が約4分の1になったのは、混雑時間帯に限定したことと、1事業者あたり10台同時接続したという条件の厳しさの影響と考えられると分析している。
下りの通信速度をエリア別に見ると、MNO3事業者の中でも、東京エリアと大阪エリアではソフトバンクが優位、名古屋エリアではNTTドコモが優位となった。MVNOでは、BIGLOBEが大阪エリアで6.6Mbpsと、他のMVNOと比べて良好な結果を記録している。
上りの通信速度は、MNO3社平均 5.3Mbpsに対して、MVNO 5社平均が6.3Mbpsと、MVNOが上回る結果となった。混雑時間帯のMVNOでは、上り通信速度が下り通信速度を大きく上回る結果が頻発するが、その実態を表す結果となっているという。