日立製作所(以下、日立)は、自律航法などを用いて、GPSの電波が届かない屋内においても搬送車両や作業員の高精度な位置情報を計測・可視化しデータ分析を行う屋内外位置情報活用サービス「Tracking View」(トラッキング ビュー)の提供を開始すると発表した。

「Tracking View」のサービスモデル概要

同サービスは、日立と日立キャピタルオートリースが協業して提供するもので、フォークリフトのリース事業と組み合わせ、国内外の車両リース会社や建設会社、製造・流通・社会インフラ分野など向けに、IoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコアのひとつであるクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」のオプション機能として10月から提供開始される。

現在、GPSの電波が届かない場所で搬送車両や作業者の位置情報を取得するためには、高精度なビーコンを多数設置し、電波強度を計測しながら位置を推測する方法が用いられている。しかしこの場合、電波の干渉や反射などによって誤った推測位置を取得する可能性があるほか、ビーコンの設置やメンテナンスにコストや手間がかかることなどが課題となっている。

そこで日立は、日立産業制御ソリューションズと、計測関連事業を手がけるサイトセンシングと共同で、自律航法にビーコンと地図情報による位置補正を組み合わせ、屋内における搬送車両や作業員の位置情報を高精度に計測するシステムを開発した。同システムは、屋内において誤差約3.0m以内の高精度で位置情報を計測し、屋外ではGPS信号を位置補正に利用することで、屋内外の位置情報をシームレスにつなぐことができる。また、従来に比べて設置するビーコン数が少なく済むため、システム構築の期間や初期・維持管理コストを抑えることもできる。

同サービスでは、日立キャピタルオートリースのリース先で運用されているフォークリフトに搭載したセンサーから収集した稼働情報や位置情報などのデータを、日立の「Doctor Cloud」で分析し、見える化。その情報を基にフォークリフトの最適な配置や適正保有台数を算出するほか、資材の配置など現場レイアウトの最適化をユーザーに提案することができる。また、車両のスピード超過・急加速・急減速・急旋回などの情報を安全運転指導や路面レイアウトの改善に活用することで、現場の安全性向上を図ることも可能だという。

日立は今後、「Tracking View」を水処理・交通などの社会インフラ事業者や流通分野などにおける作業者の動線管理の適用にも拡大していく方針ということだ。