島津製作所は、医薬品の剤形(錠剤やカプセルなど)開発や品質管理における、含有成分の溶出試験の作業効率を改善する超高速液体クロマトグラフ「Nexera FV」を発売すると発表した。同製品は溶出試験機と直結しており、含有成分の分析から試験結果のレポート出力までの業務を自動で行うため、作業者の拘束時間を短縮できるという。価格は780万円(税別)。
製剤の溶出性評価は、医薬品の開発および品質管理において重要であり、特にジェネリック医薬品では、含量や剤形の変更による生物学的同等性を検証するために溶出試験の実施が義務付けされている。溶出量の測定には主に紫外分光光度計が用いられるが、製剤中の成分濃度が低い場合や加水分解しやすい場合などには、高速液体クロマトグラフ(LC)が用いられる。しかし、これまで同法では溶出液を移し替える操作(サンプリング)が発生するため、作業者の長時間拘束が必要となっていた。
今回発売された、Nexera FVでは、LCに溶出液を自動搬送して直接分析できるため、手動のサンプリングが不要となった。また、LC部に超高速分析LCシステム「Nexera」を用いることで溶出液の短時間分析も可能にした。
具体的に、従来の手動サンプリングによる溶出試験と比べて、1試験当たりの作業者の拘束時間を約1/40に短縮するという。また、超高速分析を可能にするUHPLCを組み合わせることで各溶出液を短時間で分析できる。さらに、即溶性/徐放性などの、錠剤の性質に合わせた分析モードも可能。そのほか、試験条件の設定を容易にし、試験終了後に溶出曲線や溶出率などの分析結果をレポートで自動出力する専用ソフトウェアも付属する。
なお同社は、Nexera FVの国内外での初年度販売目標を50台としており、同製品は、9月6日から幕張メッセで開催されるJASIS2017にて展示予定だという。