NTTデータ 第一公共事業本部 e-コミュニティ事業部 課長 筒井健氏

NTTデータは8月31日、米国DigitalGlobeと「AW3D全世界デジタル3D地図」(AW3D)の新製品となる、高精細3D都市データを共同開発し、9月1日から販売を開始すると発表した。

AW3Dは、JAXAの陸域観測技術衛星「だいち(ALOS:エイロス)」によって撮影された約300万枚の衛星画像とDigitalGlobeの衛星画像を用いて、NTTデータとリモート・センシング技術センター(RESTEC)が開発したもの。2014年に5m解像度の全世界3D地図の提供を開始し、2016年には都市部で最高0.5mの解像度の3D地図データの提供を追加した。世界70カ国以上、300以上のプロジェクトで活用されているという。

第一公共事業本部 e-コミュニティ事業部 課長 筒井健氏は、AW3Dの特徴について、「従来の航空写真を用いた手法と比べ、約4分の1から10分の1のコスト、および、最短1週間で精細な3D地図データを提供できること」と説明した。

今回、NTTデータの高精度な3D地図作成技術とDigitalGlobeの地理空間情報クラウド「Geospatial Big Data Platform」を組み合わせることにより、国・大陸単位など広範囲な高精細3D都市データの整備が可能になった。

NTTデータの高精度な3D地図作成技術

地理空間情報クラウド「Geospatial Big Data Platform」の仕組み

今回、提供が開始される高精細3D都市データは、建物・人工構造物および森林・樹木などの植生情報を含むベクター形式の3Dポリゴンデータ、0.5~1m解像度のラスター形式の3D地形データ(数値標高モデル)から構成される。筒井氏によると、高精細3D都市データは「人の影が見える」「車種がわかる」ほどの細かさだという

3Dポリゴンデータ。右の写真は、建物壁面に実写を付与したもの

左から、東京の3D都市データ、シカゴの3D都市データ

そのため、既存のラスター形式の3D地図のみでは困難だった、次世代通信5G通信などの精密シミュレーション分野、洪水対策の自然災害リスク分析の分野、都市におけるスマートシティ計画の分野など、さまざまな業務アプリケーションへの展開が可能となる。実際、通信分野やスマートシティ分野において、既に引き合いがあるという。

さらに、AW3D高精細3D都市データの特徴の1つに、人工知能(AI)を活用していることがある。例えば、AIを活用した画像解析技術により、建物を検出することで、これまで手作業で行っていた作業を自動化しているほか、機械学習によってデータ分析も行っている。

まずは、高精細3D都市データの利用が期待される日本・米国・カナダの大半の都市を網羅する約100万平方キロメートルから販売を開始する。以降、欧州・アジアなどの地域にも整備エリアを拡大することを狙う。価格は、1平方キロメートル当たり1万円から。