日立ソリューションズは9月1日、IoT化が進む制御システム向けに、数十マイクロ(0.00001)秒(同社従来比:約1/1000)でのデータの検索や更新を実現する「Entier インメモリデータベース管理システム」を販売開始した。
同システムは、データの識別記号とデータを組み合わせたシンプルなデータベースの方式である「Key-Value-Store」や、データを一時保管する領域の両端を論理的につなげてデータの置き換えを不要にする方式である「リングバッファ」の採用で処理能力を向上し、データの検索や更新の超高速化を実現したもの。
昨今、自動運転やロボットなどの高度化に伴い、制御ユニット上のアプリケーションでは、限られたリソースの中で1ミリ(0.001)秒以下の処理能力が要求される。また、制御ユニット上のアプリケーションは、センサーなど複数のIoT機器とのデータの受け渡しも必要となり、データの多様化・大規模化に伴うデータの整合性確保や、アプリケーション間の干渉回避といった課題の解決も求められている。
従来の「Entier」は、カーナビゲーションやデジタル家電などの組み込みデバイスに適したリレーショナルデータベースとして販売されてきたが、同システムは、従来の「Entier」と比較してデータの検索や更新が超高速化されただけでなく、IoT機器から出力される種類の異なる複数のデータを同時に処理し、一元管理できるマルチスレッドに対応することで、自動運転やロボットなどの制御アプリケーションの開発効率向上も支援する。
また、自動車の機能安全規格であるISO26262の設計プロセスに準拠したエビデンスを提供することで、車載システムにおける規格の認証取得を支援する。なお、同システムは100キロバイト程度のプログラムサイズとなっており、リソースが制限されたエッジデバイスなどにも適用することができる。
開発環境はWindows(x86)とLinux(x86)、 ターゲットシステムはLinux(ARM)、その他のターゲットへのポーティング状況や販売価格については、同社に要問合わせとなっている。また、同システムの体験版をダウンロードできるサイトが公開されている。