オムロンは、製造現場におけるあらゆる部品や機械をIoT化し、設備や生産ラインの制御を進化させることを目的として、米マイクロスキャン システムズ(マイクロスキャン)を買収・グループ会社化する契約を締結したと発表した。買収の完了は2017年10月上旬の予定としている。
マイクロスキャンの事業内容は、産業用コードリーダー、ベリファイ機器、スマートカメラの開発・製造・販売などで、製品に直接刻印・印字されたコードを表面の粗さや光沢、曲面などの影響を受けずに安定して読み取れるアルゴリズム技術を有している。従業員は192名(2017年8月30日時点)で、米国を中心として事業を展開し、シンガポール、中国、インド、韓国、ドイツ、フランス、メキシコ、ブラジルに販売拠点を持つ。
近年、製造業では、トレーサビリティの厳格化や、EICCなど製品の安全に対するガバナンス確立への取組みが進んでいるほか、消費者の嗜好の多様化による多品種少量生産や製品一個単位のカスタム生産を支える「個体管理」の重要性が高まっている。そのため、さまざまな業界で製品や部品単体へのIDコードの付与が急速に拡大し、製造現場でコードを読むためのコードリーダーへの要求が高度化している。
今回の買収によりオムロンは、同社の制御機器によるオートメーション技術とマイクロスキャンの2次元コードの読取技術を搭載したさまざまなコードリーダーを統合し、各業界の課題に即したトータルソリューションをパッケージで提供していく考えだ。
具体的に、複数のIDコードも簡単かつ安定して読み取れる「ロボット連動トレーサビリティ」パッケージや、部品のグレードや特性に応じて部品を組み合わせられる「高品質モノづくり」パッケージ、医薬品などの各種法規制に誰でも対応できる「法規制・シリアライゼーション」パッケージのほか、機械のID化による設備の高効率稼働、機械同士の情報を連結させて不良品を少なくする環境の実現などに向けたソリューションを提供予定だという。
同社は今後、コードリーダーで読み取った情報を、製造現場レベルで簡単に収集・分析・活用する環境を提供し、ものづくり現場の「intelligent(知能化)」を顧客企業各社と加速させ、生産性と品質を飛躍的に向上させていくとしている。