台湾TrendForceの半導体メモリ調査部門であるDRAMeXchangeは8月23日、2017年第2四半期(Q2)のモバイルDRAM市場規模は、前四半期比14.8%増となり、中でもトップDRAMメーカーである韓Samsung ElectronicsのモバイルDRAM分野での売上高は、前四半期比で20%以上の伸びとなり、市場シェアも6割を超すまでに成長したと発表した。
2017年第2四半期におけるモバイルDRAMの主戦場であるスマートフォン(スマホ)そのものの売り上げは低迷していたものの、そこに搭載されるモバイルDRAMそのものの市場は回復した。この背景には、スマホメーカーが第1四半期に年間生産目標を引き下げたことで、メモリチップの過剰在庫に直面することとなったが、第2四半期に入ってから需要が戻ったことに加え、年後半のスマホ新モデルのリリースに備えた在庫の積み増し需要が発生したためであるとDRAMeXchangeでは分析している。
2017年第2四半期のDRAM各社におけるモバイルDRAM売上高ランキングを見ると、Samsungが世界シェアの半数を超しており、2位のSK Hynixと併せると、韓国勢2社のみでシェアは8割を超す結果となった。
3位のMicron Technologyは、事業戦略を変更してスマホ分野を重視したため、2桁成長を遂げることができ、2四半期連続でシェアも15%程度を維持することができた。しかし、Micronについては、子会社であるMicron Technology Taiwanが所有するファブ2(N2)のライン汚染トラブルにおける一時的な稼働中断が、2017年下半期のモバイルDRAM生産に影響を及ぼすことが危惧されている。このトラブルは、工場内に張り巡らされている窒素ガスシステムの不具合によるもので、ほとんどがモバイルDRAM製品に加工されるはずだった5万枚の300mmウェハが廃棄処分になってしまった。Micron Technology Taiwanはウェハの投入枚数を増やすことで赤字を埋め合わせようとしているが、第3四半期の同グループのモバイルDRAM生産量と市場シェアはこの事故によって悪影響を受けるのは避けられないとDRAMeXchangeでは見ている。
トップ3社は第3四半期も増収増益の見通し
4位以下となる台湾のDRAMサプライヤだが、第2四半期中に世界中のミッドレンジおよびローエンドのモバイルメモリチップに対する強い需要を享受したものの、主流のeMCP向けNAND型フラッシュメモリの供給が逼迫したため、期待以上にはモバイルDRAMの出荷が拡大しなかった模様だ。その結果、例えば、第2四半期におけるNanyaのモバイルDRAMチップの出荷数は予想を下回る結果となった。このため、Nanyaは平均販売価格がモバイル向けよりも高い民生用DRAMのシェア拡大に向け、同社の製品ミックスに占めるモバイルDRAMの割合を縮小したため、第2四半期のモバイルDRAMの売上高は、前四半期比6%減の7900万ドルにとどまったという。
もう一社の台湾のサプライヤであるWinbondも、第2四半期のモバイルDRAM売上高が前四半期比で3.6%減となった。WinbondのモバイルDRAM事業は、一部の顧客の赤字により影響を受けた。ただし、同社は第3四半期は季節的に繁忙期にあたるため、モバイルDRAMの売り上げも成長できると見込んでいるという。
なお、DRAMeXchangeによると、第3四半期はスマホ市場での需要の回復と契約価格の小幅な上昇により、世界規模でモバイルDRAMの売上高は上昇を続ける見通しであり、少なくともSamsung、SK Hynix、Micronの大手3社については、モバイルDRAM製品の売上高および利益拡大が見込めるという予測となっている。