鉄道総合技術研究所(以下 鉄道総研)は、ディープラーニングを活用し、トンネル覆工面の画像から「ひび割れ」を自動検出する手法を開発したことを発表した。
従来の画像処理プログラムでトンネル覆工面のひび割れ等の変状を検出するには、トンネル形状や覆工面の汚れの状態等に応じたパラメータ調整のための、経験に基づくノウハウが必要であった。さらに画像処理においてトンネル覆工面に設置された信号ケーブルや架線、付帯物、目地などをひび割れと誤検出するという問題があった。
このたび開発された手法は、機械学習の一種であるディープラーニングにより、ひび割れが有る画像と無い画像とをコンピュータに学習させ、ひび割れの有無を識別できるようにするもの。
トンネル撮影車等でレーザー光により撮影した鉄道トンネル内部の覆工面全体の画像をコンピュータに学習させ、ひび割れ有りと識別した画像に対し詳細なひび割れ検出の画像処理を行う。これにより、幅0.5mm以上のひび割れを83%以上の確率で検出できる。また、トンネル1km当たりの画像に対して約15分でひび割れの検出が可能で、パソコンにより現場事務所での処理が可能だという。
なお、実際の検出結果でも、画像に写り込んだ信号ケーブルや架線、付帯物や目地など、ひび割れと似たノイズを識別して除外し、ひび割れのみを検出できたということだ。