キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)とPTCジャパンは8月24日、ものづくり企業における設計・開発業務をオフィスとは異なる自宅などでも、安全かつ安心してリモート環境として利用することを可能とするソリューション「スマートPLMサポートサービス」の提供を9月上旬より開始すると発表した。
同サービスは、PTCの「Windchill」ベースのクラウド型プラットフォーム 「PTC PLM Cloud」に、キヤノンITSのクラウド型テレワーク支援システム「テレワークサポーター」を組み合わせることで、高いセキュリティ性を担保し、在宅勤務者やサテライトオフィス、パートナー企業など、勤務する場所を選ぶことなく、勤務状況と作業状況を共有しつつ、PLMを活用したものづくりを可能にするもの。キヤノンITSでは、CAD設計エンジニアの人材不足がものづくり業界の課題となりつつある昨今、仕事を続けたいが、さまざまな事情で離職せざるを得ないそうした人たちの受け皿として、リモートでの就業が業界として受け入れられるのか、というワークスタイルの変革を促すといった側面からも、今回のサービスを構築・提供することを決定したという。
具体的には、PCに接続されたカメラで作業者を撮影。もし、第三者がモニタを覗き込んだ場合、キヤノンがデジタルカメラで培ってきた顔認識技術を応用し、作業内容が他者に見られている、もしくは作業者が離席していて誰も居ないといったことをPC側が判断。モニタをブラックアウトさせることで、作業内容が他者に盗み見られることを防ぐことを可能としている。
また、一般的にPLMは大規模なシステムであり、その投資額は億単位となるほか、リプレースなども含め、導入には相応の時間がかかるが、投資対効果の判断が付けづらい、という問題があった。PLM Cloudはクラウド型のサービスであり、サーバもPTCが用意したものを活用できるため、立ち上げが容易かつ、比較的安価にPLMの利用を開始することが可能という特徴もある。
同サービスでは、初期導入の支援をするサービスや、設計の効率化を支援するサービス、業務改善やプロセスの改革を支援するサービス、3D CADデータの活用支援サービスなども用意されているため、導入に不安な企業や、PLMや3D CAD、CAEなどを利用してみたが、もっと効率を上げたいといった幅広いニーズにも対応することができる。さらに、キヤノンITSが独自に開発した「PLM簡単スターターキット」を活用することで、初期設定時にカスタマに応じたプロパティ情報をウィザード形式で選択していくことで、Windchillの初期設定を手軽に終えることも可能としている。
なお、同サービスの基本ライセンスは15ユーザー(テレワークサポーターは5ユーザー)で、エンジニアリングサービス(初期環境セットアップ、基本項目設定、スタートアップ教育)も含む形で、提供価格は年額1200万円(税別)から(カスタマイズの有無などで変化)、となっている。キヤノンITSによると、30日の無料体験期間を用意しており、その間に、機能評価などを行ってもらえれば、と説明しているほか、無料の簡易的な導入に向けたコンサルティングも提供しているとのことで、興味をもった企業は同社の担当営業に声をかけてもらいたいとしている。
また、今回、サービス提供の第一歩という形であり、今後は将来的な機能強化も進めていく計画だという。すでに、次のステップとしてはVDIの活用によるサービスを検討しているとのことで、さらなる利用者、利用分野の拡大を目指すとしている。