新潟大学は、同大学農学部の城斗志夫教授、同工学部の狩野直樹准教授、新潟県醸造試験場の栗林喬氏らの研究グループが、清酒の原料である水の特徴から新潟県産清酒と海外産清酒を識別することに成功したことを発表した。

この研究成果は8月10日、日本分析化学会発行の「Analytical Sciences」に掲載された。

近年、清酒の海外への輸出量が増加している一方で、海外市場における偽造品の広がりも懸念されつつあり、高品質な国産清酒を証明する科学的な識別法が求められていた。

清酒の80%以上を占める水は水素と酸素で構成されており、それぞれに質量が異なる安定同位体が存在する。安定同位体の比率(安定同位体比)は、水の存在する地域に依存した固有の値をとることから、清酒の産地情報となる。

この研究では,新潟県産清酒とアメリカや中国、ヨーロッパなど海外産清酒の水素・酸素安定同位体比を比較した結果、これらの値が原産国によって異なり、新潟県産清酒と海外産清酒の識別のための指標となりうることを示した。

この成果により、国内外における新潟県産清酒の信頼性・安全性が向上するとともに、新潟県のみならず「国産清酒」全体のブランドイメージの向上にも寄与し、海外清酒市場の拡大に貢献することが期待されるとしている。