働く人の視点に立って労働に関する制度を抜本的に見直し、企業文化や風土も含め改革していこうというのが基本的な考え方となる「働き方改革」。そのアプローチに関しては様々な手法が模索されている。今回開催された「ワークスタイル変革EXPO」でも、参加各社が思い思いのアプローチを提案していた。

本稿でピックアップする富士ソフトも、多様な働き方やワークライフバランスを実現する柔軟な制度を生み出す“制度改革”や“意識改革”を、多様なICTツールを駆使して実現していこうと様々なプロダクトを提案していた。なかでも興味を惹かれたのが、企業の顔とも言える受付を効率化する無人受付システム「moreReception(モアレセプション)」、メイド・イン・ジャパンにこだわったコミュニケーション・ロボット「palro(パルロ)」、そして、参考出展されていたAIを用いたチャットボットシステム「AssIst Bot」だ。

ICTを活用した時間と場所にとらわれない「働きかた」をテーマに、様々なICTツールによってそれらの実現に注力している富士ソフト。なんとテレワークに関しては28年にも及ぶ導入歴を誇っているワークスタイル変革企業なのだ

さて、読者の皆さまはこんな感情を抱いたことはないだろうか? 企業を訪問した際、受付で記入するゲストカードで訪問先担当者の所属部署名がわからず気まずい思いをした、ということは。セキュリティや個人情報保護等の観点で、「誰がいつやってきてどこへ行きいつ帰ったか」という入退館の記録を残す重要性は重々承知しているが、正直訪問側にしてみれば面倒だと感じてしまうことも。

また、来訪者を迎える企業側にしてみても、入退館時の記帳情報や入館証の発行・回収など受付担当者の業務が煩雑で改善のメスを入れる余地があるように思える。そんな受付での煩雑さを解消してくれるのが「moreReception」だ。

この「moreReception」は、来訪者に事前にQRコードが記載されたメールを送信し、読み取り機でQRコードをスキャン、受付処理と同時に担当者への通知が一気通貫で行えるというものだ。プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)への対策としても配慮がなされているほか、担当者への通知方法も既存の内線電話はもちろんメールやアプリといった複数の通知方法から選択することが可能となっている。

フロアタイプの「moreReceptio」。コンパクトでスタイリッシュな受付空間を演出可能だ

こちらはカウンタータイプの筐体。受付スペースに応じて最適なものを選ぶことができる。ちなみに、写真右の装置はオプションで用意されているゲストカード発券・回収装置

「moreReception」での一連の流れを写真で補足していこう。左から受付方法の選択、QRコードのスキャン、スキャン後の情報確認画面となっており実に快適

担当者にはこのようにモバイルデバイスにメッセージで来訪を知らせる機能も。もちろん、内線電話で呼び出しを告げることも可能だ

富士ソフトブースで、その愛らしい姿で来場者を迎えていたのがハイブリッド構造のAIを搭載したコミュニケーション・ロボット「palro」だ。分析や解決などの演算リソースを必要とする処理をクラウドAIで、人に対するコミュニケーション行動の制御はフロントエンドAIで、というように、状況に応じてふたつのAIをシームレスに制御することで高いコミュニケーション能力を実現しているというこの「palro」。既に高齢者福祉施設等での導入が進んでいるそうだ。

同じAI分野では、WebやLINE・Facebookメッセンジャー上で自動応答を可能とするソリューション「AssIst Bot」も参考出展というカタチで公開されていた。この「AssIst Bot」を駆動させるAIは100%自社で開発されたものだそうで、本格的なリリースは「年内にお披露目できれば」とのこと。

富士ソフトが取り組んできたロボット/AI技術の結晶とも言える「palro」。揺れを肯定し倒れないメカニズムの実現、それにより様々なボディランゲージを可能とし、豊かな表現力を獲得している。また、自然な音声会話が可能となっており、例えば高齢者福祉施設では孫のように可愛がる人もいるという

参考出展されていたチャットボットシステム「AssIst Bot」

長年にわたって“働き方改革”に取り組んできた富士ソフトだからであろうか。「moreReception」のような「痒いところに手が届く」実用的な改善ソリューションから、コミュニケーションのあり方を変革する「palro」や「AssIst Bot」といった、先進の技術を利活用したソリューションに至る幅広い分野での提案たち。今後どのような改革ソリューションを見せてくれるのか、大いに期待したい。