国立がん研究センター(国がん)は8月9日、2015年の1年間に診断された患者の診療情報(2015年全国集計)と、2008年の1年間に診断された患者について、治癒の目安とされる5年を経過した生存率(2008年5年生存率集計)について報告書を、同センターがん対策情報センター「がん情報サービス がん登録・統計」統計ページにて公開した。
「2015年がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計」は、がんの種類、進行度、治療方法、年齢、来院経路、発見経緯などについて、全体、都道府県別および施設別に集計することで、国や都道府県におけるがん対策と、拠点病院における自施設のがん診療の把握に活用されるもの。その基礎資料として院内がん登録のデータを集計したもの。この集計は、2007年症例より行っており、今回が9回目の報告となる。
今回の集計においては、高齢化が進む我が国における高齢者のがん治療状況を把握する一つの資料として、胃、大腸、乳房、肝臓、肺の主要5部位に加え、食道、膵臓、前立腺、子宮頸部、子宮内膜、膀胱、甲状腺の7部位を加えた12部位(がん種)について、診断時の年齢が40歳以上であった例につき、病期分布や病期別の治療方法について特別集計を行っている。
今回の報告では、新たに高齢者のがん治療方法について特別集計を行った結果、75歳以上、85歳以上の高齢の患者では、若い年代の患者と比較して、部位や病期によって「治療なし」の割合が多いことなどがわかった。
一方、「2008年がん診療連携拠点病院等院内がん登録5年生存率集計」は、各医療機関が自らの医療の質を見直すきっかけとなるデータを提供すること、国民に情報を公開することで、がん医療の透明性を確保することなどを目的として、がん診療連携拠点病院の生存率を集計したもの。同集計は2007年症例より行っており、今回が2回目の報告となる。
今回の報告では、胃、大腸、肝臓、肺、乳房という主要5部位に、新たに食道、膵臓、前立腺、子宮頸部、子宮体部、膀胱を加え、拠点病院全体及び都道府県別の集計が行われている。また、主要5部位については、がん診療連携拠点病院別の生存率を集計している。その結果、前立腺癌では生存率が高く、膵臓癌は他の部位よりも低いことなどがわかった。