夏真っ盛り。達成感や爽快感とともに雄大な大自然を肌で感じられる登山は、楽しいものだ。しかし、危険も多い。舗装されていない山道は、風雨による変化も激しく破損や落石、土砂崩れの危険。日が暮れると、足場もままならぬ危険空間へと突然変り、遭難の危険性も付きまとう。
70年にわたり国内外インフラのコンサルタントとして多くの大規模事業を行ってきた日本工営は7日、富士山登山者の安全を守る仕組みづくりを目指す実証実験「富士山チャレンジ2017」を、8月19日から9月1日までの期間中実施することを発表した。
登山者に専用の小型ビーコンを付けてもらい、山小屋などの各ポイント設置のレシーバー端末で、通過情報や位置情報を測定。これをクラウドで集積・管理、PCやスマートフォンでリアルタイムに登山時間や混雑状況、山頂到達率などを可視化し誰でも情報取得なシステムを構築する。実施期間中のみ閲覧可能なモニターページ(Webページ)も告知されており、現在待機ページが表示されている。使用ビーコンは600個、モニター協力数3,000名(約200名/1日)、レシーバー45機(27カ所)を予定しており、ビーコンは静岡県側が富士宮口、御殿場口、須走口。山梨県側が吉田口登山道の計4ルートの5合目で配付される。
また、小型高精度レーザー計測器を使った3D計測も予定しており、今回のデータとリンクした登山におけるボトルネック箇所の抽出も行う予定で、継続的な計測により登山道の破損箇所や落石状態の把握、噴火時などの避難シミュレーションへの活用にも取り組む。同社では、将来的には安全な登山のための情報提供や入山料とリンクした登山計画、登山保険の仕組みの構築、防災・環境保全分野での活用を目指す。