トヨタ自動車は、交通事故死傷者の低減を目指し、北米の大学や病院、研究機関等と共同研究を行う先進安全技術研究センター(Collaborative Safety Research Center、以下CSRC)において、新たな研究プロジェクトの内容を発表した。
CSRCでは、2011年の設立以来、23の大学とのパートナーシップの下で44の研究プロジェクトの立ち上げと完了に取り組み、200以上の論文を発表するとともに、様々な車両安全関連の会議でも研究プロジェクトの発表を行ってきた。これらは、車両安全におけるヒューマンファクターの研究、予防安全・衝突安全技術の効果の研究、安全運転のデータ分析のための新たなツールの開発など、業界全体を通じた自動車の安全性向上にも寄与してきた。
2017年1月には「CSRCネクスト」を立ち上げ、この5年間で得られた洞察を基に3,500万ドルの規模で研究を実施し、自動運転やコネクティッドカーといった先進技術の安全性研究に取り組んでいくという。
また、今回の新たな研究プロジェクトでは、(1)様々な衝突形態に対応するための、センサーの高度化による予防安全技術と衝突安全技術の統合、(2)覚に合ったクルマとするための開発モデルづくり、(3)生体計測技術を適用し、ドライバーの健康状態を推定することにより、より良いモビリティにつなげていく研究、(4)ビッグデータと安全の分析手法を活用した、実際の交通環境に即した運転データを研究できるアルゴリズムやツールの開発——という、先進技術が交通安全に幅広く与える影響や、人間とクルマとの相互の関係について、重点的に4つの方向性で研究を進めていくということだ。
なお、CSRCの所長であるチャック・グーラッシュ氏は、「自動運転とコネクティッドカーの技術の進化に伴う、交通社会の変容は今始まったばかりである。CSRCは世界に名だたる研究機関と協力し、その研究成果を公表している。CSRCが今回の研究プログラムを通じて、先進的なモビリティ・ソリューションや、安全かつ便利な未来の交通社会の実現に向け、貢献していくことを誇りに思う」と述べている。