日立ハイテクノロジーズは8月1日、FIB-SEM複合装置 「ETHOS」を開発したと発表した。同装置では、新開発の電磁界重畳型レンズを採用することにより、サブナノメーター以下の観察性能を実現するとともに、FIBによるTEM用薄膜試料作製時の加工スジを抑制するACE技術を組み合わせることで、TEM用薄膜試料作製を可能としている。

FIB-SEM複合装置「ETHOS」

同装置は、試料の加工を行うFIBカラムと、高倍率で観察を行うSEMカラムが同一試料室に配置されており、試料表面のみならず試料内部の特定箇所の微小な形状や構造を高倍率で解析することができる。また、高輝度冷陰極電界放出型電子銃と新開発の電磁界重畳型レンズにより、低加速電圧での観察とリアルタイムFIB加工観察と両立した。

さらに、FIBでの断面加工時に発生する加工スジを抑制するACE技術を組み合わせることで、加工ダメージが小さく、加工断面が均一なTEM用薄膜試料作製を実現するという。そのほか、SEMカラム内に3つの検出器を搭載することで、二次電子による形状コントラストや反射電子による組成コントラストを同時観察でき、特定箇所を捉えたFIB加工が可能だとしている。

新開発の試料室には、EDSやEBSDなどの各分析装置に対応するアクセサリーポートを設置するとともに、直径150mmサイズの試料の全面加工観察ができる新開発の大型試料ステージを搭載している。これにより、半導体デバイスだけでなく生物組織から鉄鋼などの磁性材料まで、さまざまな試料の複合解析に対応している。

ETHOSの主な仕様

なお、同製品は、2014年9月発売の「NX2000」、2015年6月発売の「NX9000」に続く、同社と日立ハイテクサイエンスの共同開発製品となる。販売開始は2017年11月を予定している。