野村総合研究所(NRI)とみずほ銀行は7月31日、人工知能を活用して、デリバティブ取引における契約文書の読み取りや情報検索業務の効率化を目的とする実証研究を、共同で実施したと発表した。実施期間は2017年2月から3月。

デリバティブ取引とは、「先物取引」「オプション取引」といった、基本的な資産や商品などから派生した資産を取引すること。これまでみずほ銀行では、デリバティブ取引の際は国際スワップデリバティブ協会の作成した様式に則った紙の契約書(ISDA契約書)を顧客とやり取りし、情報をシステムに保存していた。契約書は膨大な取引固有の情報が含まれているため作業量が膨大で、担当者の専門的な知見が必要だという。

今回の実証研究では、NRIが構築したシステムによって、OCR(光学文字認識)で電子化したISDA契約書から、構成する担保関連の条項などのデータを定型化して抽出し、情報検索が可能な形式で保存できることを確認した。その結果、ISDA契約書締結に関する入力業務の簡素化、過去の契約内容の照会も効率的に短時間で対応することが可能になったという。

同実証研究の成果をもとに、デリバティブ契約業務への本格的な適用に向けて、みずほ銀行とNRIは引き続き連携し、有効性の検証を進めるとしている。