「データプラットフォーム」ベンダーへと成長
ピュア・ストレージはこのほど、ユーザー向けセミナー「Pure Live 2017」を開催。あわせて「データプラットフォーム」に関する記者発表会を開催し、さまざまな新機能を発表した。オールフラッシュストレージのパイオニアの1社として市場を切り拓いてきた同社だが、ここ数年は「オールフラッシュのメインストリーム化」から「クラウド時代のデータプラットフォーム」へと軸足を移し、さらなる機能強化に努めている。
今回の発表では大きく3つのテーマがあった。1つ目は、パフォーマンスだけでなく、可用性や信頼性を向上せた「新しいティア1」としての展開だ。アクティブ-アクティブ構成でリアルタイムに遠隔地同期を行う機能や、仮想マシンやボリューム単位のポリシーベースでQoSを設定する機能、VMware VVOL対応による仮想マシンの制御、Amazon S3やGracierと連携した自動バックアップなど、ソフトウェア機能を強化した。
2つ目は、増え続けるビッグデータを高速に分析していくためのインフラの強化だ。ブレードシステムを拡張して、ブレード75基、最大8PBまで単一のシステム上で扱えるようにした。
3つ目は、ユーザー側でストレージの性能や容量を予測できるようにするサービス「Pure1 Meta」の展開だ。世界中で利用されている顧客のストレージ環境をセンサのように扱い、そこから収集した統計データをAIで分析して、顧客にフィードバック。ストレージを自律的に運用できるようにした。
こうした機能により、ピュア・ストレージは何を目指していこうとしているのか。米Pure Storage 製品部門副社長のマット・キックスモーラー氏と、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏に、同社のこれからのビジョンと日本戦略について話を聞いた。
現状の課題を解くカギはストレージ
──まずは、現在の企業を取り巻く状況をどう見ているのか教えて下さい。
キックスモーラー:大きく3つのトレンドがあると思っています。1つは、驚くほどのデータ量の増加です。データ量はすでに人間が扱える規模を超えています。企業がこれらをどう分析して活用していくかは大きな課題になっています。
2つ目は、クラウドの利用スタイルの変化です。数年前は、パブリッククラウドへの期待一辺倒だったと思います。ただ、実際に使ってみて、オンプレミスの良さも認識されはじめました。現在は、パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスからいいところをとり、価値を引き出していくという使い方が主流になってきています。
3つ目は機械学習やAIです。近年では最もワクワクする領域であり、今後、あらゆる業界がこれらの影響を受けることになるでしょう。
これら3つのトレンドに共通するカギは何か。それがストレージなのです。
──「データプラットフォーム」はこれらのトレンドや課題に対応するものですか。
キックスモーラー氏:はい。当社は最初の5年間はフラッシュアレイを使って、データベースや仮想マシン、従来型アプリケーションを対象にしたソリューションを展開してきました。1つの転機は昨年です。ブレード型製品「FlashBlade」やNVMe対応製品を米国で発表し、ビッグデータやアナリティクス、クラウドのオブジェクトデータも対象とするようになりました。すると、これまでのソリューションと新しいソリューションが混在することになります。そこで、ユーザーからは、エンドツーエンドのシングルプラットフォームで管理したいという要望が寄せられるようになりました。データプラットフォームはそうしたユーザーニーズに応えるものです。
──よりハイエンドなニーズに対応できるようにしたということですか。
キックスモーラー氏:そうです。新しいピュア・ストレージが取り組もうとしているのは、これまでハイエンドな領域で行われてきた取り組みをメインストリームにまで持ってくることです。例えば、ハイエンドで提供されている高可用性のソリューションについては、今回「ActiveCluster」として実装しました。自然災害のリスクが懸念される日本においては、こうした高可用性を実現する機能は特に求められています。離れたデータセンター拠点同士でアクティブ-アクティブのクラスタを組むことで、事業継続や災害対策が可能になるはずです。
また、ビッグデータやクラウド、アナリティクスなどについても新しいソフトウェア、新しいハードウェア、新しいサービスとして提供します。この領域で競合他社が展開しているソリューションは複雑で高額です。われわれがコスト効果の高いソリューションを提供することで、圧倒的なイノベーションを起こせると考えています。