モリサワは7月28日、2017年の新書体を発表した。新書体は2017秋以降に対象製品を通じて利用することができる。各書体の詳細やリリース日は、新書体特設ページで随時案内されるという。
2017年の新書体では「A1ゴシック」「Citrine(シトリン)」「みちくさ」「きざはし金陵」「秀英にじみ明朝」「黒曜」の6タイプを提供する。
それぞれの特徴は以下の通り。
人気書体のA1明朝の特徴を継承しつつやわらかな表情を持つ「A1ゴシック」
A1ゴシックはA1明朝の基本となる骨格を参照して作成された、オールドスタイルのゴシック体ファミリー。線画の交差部分の墨だまり表現や、エレメントの端々にわずかな角丸処理を加えることで、温もりのあるデザインに仕上げている。ウエイトはL/R/M/Bの4つで、文字セットはStd/StdNの2つ。
モリサワオリジナルの欧文書体で、98の言語と海外の表記ルールに対応する「Citrine(シトリン)」
20世紀初頭の活字から影響を受けたサンセリフで、明るく幾何学的な要素を取り入れつつも、レトロで優しい風合いをもつヒューマニストサンセリフを目指して作成されたという欧文フォントのCitrine。A1ゴシックとの和欧併記を目的に作られ、墨だまりや角丸処理といった共通のエレメントを採用した。ローマンとイタリックの各4ウエイト8種類で展開され、海外の表記ルールを満たす文字種を多く備えている。「a」や「g」の異体字、数字のバリエーションなど、さまざまな代替字形も含んでいる。文字セットは98言語をサポートする独自規格のPro。
縦組みの際に、言葉によって文字の形が変化する機能を持った「みちくさ」
ふところを絞った骨格と、やわらかく現代的なエレメントから構成される明朝体風のデザイン書体。独創的で豊かな表情のかなは、多種多様な連綿体や代替字形が用意されており、OpenType機能を使用することで、縦組みの際に文脈を考慮した連綿体などを呼び出すことができるという。文字セットはStd/StdN相当の独自仕様。
歴史的な書物の字形を復刻した「きざはし金陵」
きざはし金陵は、中国・明代の南京国子監で刊行された『南斉書』を元に復刻した「金陵」と、1893年に東京築地活版製造所で印刷された『長崎地名考』を元に復刻した和字(かな)書体の「きざはし」をマッチングした書体。線画や骨格を画一的に整備した近代の明朝体とは一線を画す、正統派のオールドスタイルの明朝体だ。ウエイトはM/B、文字セットはStd/StdN。
活版印刷のインクのにじみを再現した「秀英にじみ明朝」
2009年にリリースされた「秀英明朝 L」をベースに、活版印刷による紙面上でのインクのにじみを再現した書体。線画にランダムな揺らぎや太み、丸み処理を施すことで、やわらかい印象をもったアナログ感やレトロ感を演出する。ウエイトはL、文字セットはStd/StdN。
大胆な筆使いが特徴の見出し用書体「黒曜」
見出し用に作成された豪快でたっぷりとした黒みを持つ黒曜は、大胆な筆使いによる「はね」や「はらい」、線画の太細のコントラストが特徴的。無骨で力強いイメージを表現したいシーンや、題字などの大見出し、看板サインなどに利用できるとしている。
対象製品は、「MORISAWA PASSPORT製品」「MORISAWA Font Select Pack製品」「クラウドフォントサービス TypeSquare」。