デジタル・ナレッジ・マネジメント・ビジネスを展開するYextは7月20日、国内における事業戦略説明会を開催した。同日、日本法人の代表取締役会長兼CEOに宇陀栄次氏を任命することが発表された。
同社はオンライン上の情報を一元的に管理し、最新に保つことを可能にするクラウドプラットフォーム「Yext Knowledge Engine」により、デジタル・ナレッジ・マネジメントのサービスを提供。
同プラットフォームが対応している、地図、アプリケーション、検索エンジン、SNSサイトなどは、100を超える。具体的なサービスとしては、Google、Apple、Facebook、Yahoo、Instargramなど。
同プラットフォームに入力されたデータは、これらのデータ連携パートナーが提供するサービスに自動で反映される。ユーザーは同社のプラットフォームにWeb上に拡散させたい自社のデータを入力すると、そのデータが各種Webサービスに反映されることになる。
これにより、ユーザーは自社の顧客に対し、自社のWebサイトに加え、さまざまなWebサービスにおいて最新かつ正確な情報を提供できるようになるとともに、自社に関するレビューを管理することが可能になる。加えて、顧客がみる検索結果を分析し、その結果を業務オペレーションや戦略策定に生かすことができるという。
Yext 創業者兼CEOのハワード・レーマン氏は、同社を起こした理由を次のように語った。
「インターネット検索に大きなシフトが起きていることに気がついた。これまで、インターネット検索の結果はリンクとして表示されていたが、近年は写真、地図、住所など、知りたい情報がダイレクトに表示される。これは、Webの終焉を意味する。こうした新たなWeb時代に適したデータマネジメントを提供するのがわれわれのプラットフォームだ」
レーマン氏は、新たなWebのトレンドとして「必要な情報がストレートに見つかる」ことに加えて、「UIの変化」「AIの活用」を挙げる。
同社のサービスの特徴としては、上述した100を超えるサービス連携のほか、160カ国80言語という多国語対応、データの自動更新、SEO対策が紹介された。
同社のサービスは既にDenny's、Citibank、Fedex、McDonald、Sunglass Hut、Best Buy、Marriottなど、さまざまな業種の企業で導入されている。
Yext プレジデント兼チーフ・レベニュー・オフィサーのジム・スティール氏が、導入事例を紹介した。
例えば、Denny'sは世界で1700カ所にレストランを展開しているが、Webサイトで提供している各レストランの情報が不正確で、また、提供形態が統一されていないことが課題だったという。
そこで、Yextのサービスを活用して、各レストランの情報を整合性がとれた形で統合したところ、検索数が35%増加したそうだ。
また、世界でホテルを展開するMarriottもまたYextを用いて各ホテルの情報の整合性をとったそうだ。その結果、各ホテルにおいて削除した重複データの平均数は27に及び、Yextを利用しているホテルのROIは41.7に達するという。
説明会で紹介された同社の顧客は著名な大規模企業が多かったが、イエクスト 代表取締役会長兼CEOを務める宇陀栄次氏は、「われわれのサービスは大手企業だけのものではない。病院など、専門性が高い業種でも利用が考えられる。国内では、中小規模の企業での導入も狙っていく。 」と語った。
また、同社のサービスでは顧客のレビューも管理できることから、「ネガティブなレビューにも迅速に対応することが可能になる。これは、企業にとって重要な防衛策。われわれのサービスは攻めのITに加えて、守りのITとしても有効」と、宇陀氏は説明した。
現在、国内での正確な料金は決定してないが、1ロケーション当たり月額1000円から利用できるのではないかという。