茨城大学とNECは7月21日、AI(人工知能)技術を活用して河川の画像から氾濫が発生する危険度の判断支援を行う「NEC水害対策支援システム」の実証実験を茨城県水戸市内で開始した。

近年、国内において台風や集中豪雨などの影響で河川の氾濫による浸水被害のみならず、交通網、ライフラインの寸断などの二次災害も多発しており、地方公共団体では安全な街づくりに向けた水害対策への取り組みが重要になっている。

現在、河川の氾濫の危険をいち早く把握するには人手による水位上昇の目視確認が必要となり、河川監視を迅速かつ効率的に行うことが課題になっているという。

今回の実証実験では、茨城大学の齋藤修特命教授(ICTグローカル教育研究センター副センター長)らの研究グループによる水害発生時の河川の特徴に関する学術的知見と、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つであるディープラーニング(深層学習)技術を搭載した「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」を組み合わせ、水戸市を流れる桜川の偕楽園周辺のポイントに設置した汎用カメラで撮影した河川の画像を分析する。

水害対策支援システムの画面イメージ

具体的には、河川の水位や水色などのさまざまな状態の画像を学習し、氾濫の危険レベルを自動で判別することで、河川の増水や洪水の危険性などの人による判断を支援するシステムとしての有効性検証を行う。両者は今後も、実証実験を通じてAI技術による水害対策支援システムの実用化に向けた技術向上を図ることで、安全・安心なまちづくりに貢献していく考えだ。