日本ヒューレット・パッカード(HPE)は7月20日、都内で記者会見を開き、次世代のHPE Generation10(Gen10)のサーバとして「ProLiant DL360 Gen10」「同DL380 Gen10」」「同DL560 Gen10」「Apollo 6000 Gen10/ProLiant XL230k Gen10」「Synergy 480 Gen10コンピュートモジュール」「Synergy 660 Gen10コンピュートモジュール」「同BL460c Gen10」を発表した。
ProLiant DL360 Gen10は、高密度で高性能を必要とするワークロードに適した汎用1Uラックマウント型サーバ。業務アプリケーション、データベース、仮想化などのアプリケーション分野のワークロードで性能とTCO削減を両立するという。特に新プロセッサの性能を最大限活用するため、NVDIMM(不揮発性DIMM)、NVMeストレージのサポートを強化しており、最大28コアのインテル Xeon プロセッサ・スケーラブル・ファミリーを2基搭載し、24個のメモリDIMMスロットに最大3TBのDDR4メモリを搭載。
ProLiant DL380 Gen10は、拡張性、可用性を備え、データベース、ERP、データ分析など高負荷ワークロードに最適な2Uの汎用フラッグシップサーバ。HPE Scalable Persistent Memoryをサポートしており、最大28コアのインテル Xeon プロセッサー・スケーラブル・ファミリーを2基搭載・24個のメモリDIMMスロットに最大3TBのDDR4メモリを搭載している。
ProLiant DL560 Gen10は、最大6TBのメモリで、大規模高速データ解析、インメモリ環境の導入に適した2Uサイズのラックマウント型サーバ。DIMM上のメモリチップが2つ故障しても動作を継続するほか、性能劣化を起こさない(ADDDC)メモリ可用性を実装し、メザニン構造により24台のストレージデバイスの搭載を可能としており、高速なNVMeストレージ(12台)にも対応している。
また、インテル Xeon プロセッサー・スケーラブル・ファミリーを4基搭載可能な処理能力および強化された拡張性を2Uシャーシ内で実現し、インメモリデータベースをはじめ、仮想化、サーバー統合、ビジネスプロセシング、および大量のデータを扱うスケールアップ型のアプリケーションに適しているという。
Apollo 6000 Gen10/ProLiant XL230k Gen10は、12Uのシャーシに24ノードのProLiant XL230k Gen10の搭載を可能としたHPC向けスケールアウトソリューション。最大28コアのインテル Xeon プロセッサー・スケーラブル・ファミリーを最大2基搭載・16個のDDR4メモリの搭載を可能としている。
Synergy 480 Gen10は、コンポーザブル・インフラストラクチャで実現する柔軟なリソースプールの提供を目指し、サーバ、ストレージ、ネットワークを高密度に統合したブレード型フォームファクター製品で「Synergy 12000フレーム」に搭載可能な製品。最大2基のインテル Xeon プロセッサー・スケーラブル・ファミリーを実装可能なハーフハイト型で、汎用的なエンタープライズワークロード向けとなり、25/50Gbイーサネット接続にも対応し、高速/低遅延なネットワークを希望される顧客の要求にも対応する。
Synergy 660 Gen10もSynergy 480 Gen10コンピュートモジュールと同様に、サーバ、ストレージ、ネットワークを高密度に統合したブレード型フォームファクター製品でSynergy 12000フレームに搭載が可能。最大4基のインテル Xeon プロセッサ・スケーラブル・ファミリーを実装可能なフルハイト型で、要求の高いワークロードに対応するキャパシティ、効率性および柔軟性を提供し、25/50Gbイーサネット接続にも対応している。
ProLiant BL460c Gen10は、コンバージドインフラストラクチャを実現するための最大2基のインテル Xeon プロセッサ ・スケーラブル・ファミリーを実装可能なハーフハイトフォームファクターのブレード型サーバー製品。「c7000/c3000エンクロージャー」への搭載に対応し、従来のワークロードの継続利用に適した汎用的な統合/集約環境に最適なプラッ トフォームとなる。
Gen10を支える3つの柱
新製品は、セキュリティ、アジリティ、経済性の3つを柱としている。日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業総括 DCHC 製品統括本部 サーバー製品本部 カテゴリーマネージャーの阿部敬則氏は「顧客の課題・要望に応え、セキュリティとアジリティ、経済性の3つを柱とした。特にセキュリティは要望が高く、同時に課題でもある。最近ではPDoSと呼ばれる永続的なサービス停止を引き起こす攻撃もあり、ファームウェアに対する攻撃が拡大している」と指摘。
セキュリティについては、サイバー攻撃が大幅に増加している昨今、ファームウェアの改ざんに関係する不正な侵害や脆弱性の発見が相次いでいることから、今後見込まれるファームウェアレベルの脅威に対応する。自社製のカスタムシリコンである最新の「HPE Integrated Lights Out(iLO 5)」と、各種ファームウェアとの間にセキュアなリンクを構築し、感染したファームウェアコードをサーバが実行しないようにする「Silicon Root of Trust(シリコンレベルの信頼性)」を開発している。
Silicon Root of Trustは、自社開発のiLOシリコンチップ内に後から変更ができないセキュアロジックを直接焼きつけており、サーバの起動プロセスにおいて、各ファームウェアの健全性をiLOのセキュアロジックが認証を行い、改ざんやマルウェアの感染が確認された場合にはサーバーを起動しない仕組みとなっている。また、ファームウェアの改ざんに対する防御を可能にするだけでなく、サーバの稼働中にファームウェアの改ざん検知および、健全性が確認されている最新のファームウェアに自動で復旧するセキュアリカバリー機能を提供する。
アジリティに関しては、「HPE Intelligent System Tuning(ワークロード自働設定機能)」「HPE Scalable Persistent Memory」を備える。
HPE Intelligent System Tuningワークロードごとにサーバリソースを自動的に最適化することで、高いパフォーマンスかつ効率的なサーバ環境の導入を実現するインテルと共同開発した新しいサーバチューニング技術のセット。同技術には、CPUクロック周波数を安定化させるJitter Smoothing(CPU安定化機能)、少ないコア数で高いパフォーマンスを実現するCore Boosting(CPUブースト機能)、ワークロードごとに最適にチューニングされたプロファイルを提供するWorkload Matching(ワークロード最適設定機能)を含んでいる。
HPE Scalable Persistent Memoryは、TB(テラバイト)規模のデータ容量をメモリ速度で処理できるソリューション。同ソリューションは、アプリケーションのチェックポイント処理を最大27倍(HDD上のMySQLとHPE Scalable Persistent Memory との比較に基づく)にまで高速化し、データベースの復元を最大20倍(Microsoft SQL ServerインメモリデータベースのSSDによる復元とHPE Scalable Persistent Memoryによる復元との比較に基づく)にまで高速化するPersistent Memoryの機能を提供。
経済性については、ITソリューションへの支払いを毎月の運用コスト(OPEX)、あるいは設備投資(CAPEX )として選択できる柔軟性を必要としているため、キャッシュフローの改善、ITソリューションの迅速な導入、費用対効果を高めるキャパシティ管理などの目的のために、従量課金ベースの支払いモデルである「HPE フレキシブル キャパシティ」を提供する。
さらに、製造業が多い日本市場の長期間保守の要望に応え、標準保証のアップグレードとして最大7年の長期保守パッケージを発表している。価格はProLiant DL360 Gen10が、ProLiant DL380 Gen10が、ProLiant DL560 Gen10が、ProLiant XL230k Gen10が、Synergy 480 Gen10が、Synergy 660 Gen10が、ProLiant BL460c Gen10が、ProLiant DL560 Gen10のみ8月下旬に販売を開始し、そのほかの製品はすでに販売している。