日本オラクルは7月19日、今年6月に執行役兼CEOに就任したフランク・オーバーマイヤー氏による記者発表会を開催した。発表会では、元取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏がCEO交代の背景を、オーバーマイヤー氏が今後の抱負を説明した。
杉原氏は、オーバーマイヤー氏のCEO就任に伴い、取締役会長に就任した。同氏は遡ること2014年に取締役代表執行役社長兼CEOに就任、2020年にまでに「Cloud No.1 Company」になるという長期ビジョン「VISION 2020」を発表した。以降、SaaS、PaaS、IaaSにおいて、さまざまなクラウドサービスをリリースしてきた。
杉原氏はオーバーマイヤー氏にCEOを譲った経緯について、以下のように語った。
「2014年にCEOに就任してから3年たったが、VISION 2020についてある程度区切りがつき、オラクルがクラウドビジネスにシフトするという認識はできた。次の3年間でもっとクラウドビジネスを飛躍させるために、今回、ドイツでクラウドビジネスを成功させたフランクにたすきを引き継ぐ」
続いて、オーバーマイヤー氏は、クラウドへの旅路の第2章として、「VISION 2020」を引き継ぎ、この3年間で培ったものを伸ばしていくという姿勢を示した。
日本市場に必要なクラウドの要件として「Open」「Scalable」「Complete」「Ready」を挙げ、今後はこれらを強化していくとした。
「日本企業にとって必要なクラウドは誰でも使えるようにオープンであることが重要であり、成長に合わせてシステムを拡大できるように拡張性も求められる。また、インフラだけでなくアプリケーションもクラウドで利用できるよう、SaaS、PaaS、IaaSを活用して、完全なクラウドを構築する必要がある。""Ready」とは、顧客が必要な時にそばにあることを意味する。現在、企業によってそれぞれ状況が異なり、すぐにクラウドに移行する企業は少ない。そのため、顧客が必要な時に迅速にサポートができるようにしておきたい」
オープンなクラウドについて、オーバーマイヤー氏は「オラクルのデータベースが他社のクラウドサービスに対応している一方、他社の製品がオラクルのクラウドで利用できる」と説明した。
そして、具体的な施策としては、富士通と進めている国内データセンターにおけるクラウド提供のプロジェクト、日本市場に適したクラウドサービスの創出を紹介した。「データドリブンのビジネスにより、新たなクラウドビジネスを作っていく」とオーバーマイヤー氏。
また、同社のクラウドビジネスに欠けている点については、「日本の顧客のポジションや課題を理解することが重要だと考えている。顧客と対話することで、顧客のビジネスニーズと期待を理解していきたい」とした。
なお、杉原氏は「VISION 2020」の実現に向けて、「皆さんと一緒にレイヤーごとにクラウドを整理し、定義をしていく時が来たと思う。例えば、AWSはCRMのクラウドサービスを提供しておらず、すべてのクラウドサービスを提供できるわけではない。クラウドによって生産性を高めるために、どうするべきか議論が必要だと思う」と語った。