半導体市場動向調査企業である米IC Insightsは7月18日(米国時間)、2017年のDRAMおよびNANDの市場は、市場最高値を更新する見込みであるが、いずれもほとんど平均販売価格の急上昇によるものであり、数量の伸びによるものではないとの見方を発表した。

DRAMの今年の出荷個数は、実際には昨年より減少すると予測されているほか、NANDの出荷個数は、前年比2%増と見込まれている。一方、DRAMとNANDの価格は、2016年の下半期から上昇しはじめ、2017年の上半期に至っても高騰し続けてきた。2016年第3四半期から2017年第2四半期までのDRAM平均販売価格の四半期成長率は平均で16.8%、NANDの場合は11.6%であったという。

図1 2016年第1四半期から2017年第2四半期までのDRAMおよびNANDの四半期ごとの平均販売価格の前四半期比増減率(%) (出所:IC Insights)

DRAM価格のピークは第4四半期か?

2016年第3四半期以降、DRAMの平均販売価格が急上昇したことで、DRAMメーカーは同分野への投資を増やした。しかし、この投資の大部分はプロセスの微細化に向けた技術開発にあてて、生産能力の増強のための設備投資には使わなかったという。一方のNANDも、投資のほぼすべてが、従来型の2Dフラッシュメモリではなく3D NANDのプロセス技術開発に向けられていると見られるとする。

メモリ市場は過去、過度の設備投資により過剰生産に陥り、これが原因でその後の価格低下を招くという事態を招いたことがある。韓Samsung Electronics、韓SK Hynix、米Micron Technology、米Intel、東芝/SanDisk、中XMC/Yangtze River Storage TechnologyといったNANDプレーヤたちは、今後の数年間で3D NANDの生産能力を拡大する予定だとしている。その結果、今後数年間で3D NANDの生産能力が需要を大きく超えて供給過剰に陥る可能性が高いという。

DRAMの四半期ごとの平均販売価格上昇率は、2016年第4四半期にピークに達したものの、2017年第2四半期まで継続して好調に推移している。IC Insightsでは、DRAMの平均販売価格について、2017年第3四半期までは、わずかながら上昇傾向が続くと予測しており、2017年第4四半期になり、ようやく若干のマイナス成長となり、今回の価格上昇が終わると見ている。

なお、このように年後半にDRAM価格の伸びが鈍化するとの見方を示しているにもかかわらず、年間のDRAM販売価格の伸び率は63%増と予測している。これは、IC InsightsがDRAM平均販売価格の調査を始めた1993年以来、最高であった1997年の57%増を越えて最大の成長率となるという。NANDも2017年は33%増となり、これも過去最高の上げ幅と予測している。