半導体メモリメーカーである台湾Winbond ElectronicsのNOR型フラッシュメモリの2017年下半期(7~12月)における生産予定分を、ある大手スマートフォン(スマホ)メーカーが買い占めたことで完売状態となっており、他社に流通しない可能性があるとの観測を台湾の複数のメディアが報じている。
NORの供給は現在、米Cypress Semiconductorをトップメーカーとする中小半導体メーカーが行っているため、急な増産対応が困難であるほか、一部のメーカーは市場のより大きなNANDへの事業転換を試みようとしており、DRAMやNAND以上に需給がひっ迫する状況が続いている。
NORの価格は2017年第3四半期で前四半期比で15~20%ほど高騰しており、Winbondも四半期ごとの売上高で過去最高を更新するなど、好調を維持。Winbondからは、今回の下半期の大口顧客の名前は公表されていないが、次世代iPhoneの市場投入に向けてAppleが買い占めた可能性が高いと台湾メディアは伝えている。
NORは、有機ELディスプレイの輝度ムラ欠陥補正コード収納用、タッチパネル一体化デイスプレイドライバ「TDDI(Touch with Display Driver Integration)」のファームウェア収納用といった新たな用途に向けた需要が急増しており、この動きが続けば2018年まで、NORの需給バランスはひっ迫し続けるとも見られるが、有機ELパネルを搭載したスマホの人気が高まれば、これまで以上にNORの争奪戦が繰り広げられることとなるため、さらなる供給不足が生じる可能性が高いといえる。