CA Technologiesは米国本社からCTOのOtto Berkes(オットー・バークス)氏を招いて、同社が唱える「Modern Software Factory」に関する説明を行うプレス・ラウンド・テーブルを開催した。

米CA Technologies CTO Otto Berkes(オットー・バークス)氏

「Modern Software Factory」は、同社が定義する競合に先んじた優れたアイデアを、素早く、高品質で、効率良く新サービス化するために、アプリケーションを構築・リリースするための仕掛け。同社が提供する製品を利用することで、要件定義、開発、テスト、リリース、運用といったアプリ提供のプロセスを自動化し、短期間で行うしくみ「Modern Software Factory」を企業内に構築しようというものだ。これを実現するために、アジャイル開発、マイクロサービス、DevOpsというしくみを取り入れている。

「Modern Software Factory」

オットー氏によれば、「Modern Software Factory」のキーコンセプトには

・俊敏性のあるビジネスを創出
・従来よりも優れたアプリを迅速に構築
・セキュリティで競合他社を凌ぐ
・アプリのパフォーマンスにより顧客体験を高めていく

という4つがあるという。

「Modern Software Factory」のキーコンセプト

同氏は「Modern Software Factory」が必要になる背景を次のように説明した。

「根底にあるのが技術の変化の加速だ。ムーアの法則だけでなく、今ではストレージやトラフィック、アプリケーションの数も膨大なものになっている。われわれは、業務プロセスを最適化しているうちに、技術の迷路に入り込んでおり、それが技術のレガシーになっている。このような課題は、Googleのようなソフトウエア企業も抱えている。同社は、20億にも及ぶコードが将来の足かせにならないようにしていかなければならない。また現在は、IT予算の80%がメンテナンス費用に使われ、ITの革新の部分に利用されていないというのも課題だ。技術によって競争優位世を確保していると回答したITリーダーは、10%にすぎないという調査結果もある。少なくとも、予算の40%はイノベーションの部分に振り向けられなければならない。こういった課題を解決するためには新しいアプローチが必要で、それが、新しいアイデアを生み出していくアイデア・ファクトリーと、アイデアを現実なものにしていくソフトウェア・ファクトリーだ」

「Modern Software Factory」がソフトウェア・ファクトリーだとすれば、アイデア・ファクトリーとして同社が取り組むのが、社内のインキュベーション(起業支援)プログラム「CA Accelerator」だ。CA Acceleratorは、社員がサポートと資金を受けて新製品を市場に提供する社内制度。

すでにこの制度を利用して、コンテナ/マイクロサービス、DevOps、IoT、組織生産性、ビッグデータ・アナリティクス、AI、MLの分野で、1年半の間に10のスタートアップが生まれている。

「CA Accelerator」によって生まれたスタートアップ

CA Acceleratorの運用時のルールには、顧客重視、継続的な投資、迅速な実験と反復、迅速な修正・方向転換、リーンの原則に基づく段階的評価と統制ガバナンスがあるという。

CA Acceleratorの運用時のルール

オットー氏は「CA Accelerator」の社内的な位置づけを、次のように説明した。

「基礎研究や応用研究も行っているが、これは先を見据えた研究で、足元にはコアプロダクトがある。CA Acceleratorは、その中間にある。R&Dに関する投資はピラミッド型になり、トップが学術機関に関する投資、すぐ下にあるのがCA Acceleratorに対する投資だ。ただ、Acceleratorに対する投資は10個にうち、9個は失敗してしまうような投資になる。ただ、それがたとえ事業にならなくても、それに関する特許の取得や学びがある。CA Acceleratorには、それを次のビジネス活かしていくという『学び』という意味もある」と語った。

そのほか同氏は、エッジコンピューティング、AI、機械学習といった概念があるIoTの世界において、現在の同社の製品ポートフォリオが対応できるのかという質問に対して、「IoTに対しては、1つの会社だけで対応できるとは思っていない。ただ、我々には、APIマネージメントやCA Acceleratorという強みがある。IoTに関しては現在、どういったソリューションが適切なのか模索している最中だ」と回答した。