SK Hynixがファウンドリ専業子会社「SK Hynix System IC」の発足式を忠清北道清州(チョンジュ)で7月10日に行ったと韓国の多数のメディアが報じている。SK Hynixからの公式発表は7月13日時点ではないが、SK Hynix System ICのWebサイトはすでに立ち上がっていることが確認されている。

SK Hynixは、従来から、生産に使わなくなった清州工場の8インチ(200mm)ライン(1996年稼働開始の"M8"棟)を活用して、ファブレス企業のために非メモリ分野のファウンドリ業務を行ってきたが、ファウンドリ市場におけるシェアはわずか0.3%(2016年)にすぎなかった。今回のファウンドリ事業の分社化は、SK Hynixの非メモリ事業強化の一環として位置付けられており、IoTやAI(人工知能)などこれから成長が期待される分野で活用される半導体チップの多品種少量受託生産に期待をかけている。

SK Hynixの韓国(利川・清州)および中国(無錫・重慶)の半導体工場群。300mmファブはすべて半導体メモリ量産用だが、赤枠で囲った清州の200mmファブは、CMOSイメージセンサ製造とファウンドリビジネス用 (出所:SK Hynix System IC Webサイト)

SK Hynixは、ソウルに近い京畿道利川(イチョン)に本社DRAM工場、清州にNAND/DRAM量産工場を有しているが、これらは、すべて300mmファブであり、200mmファブはM8棟のみである。新会社はM8棟のある清州に本社を構える。

同社は、以前より細々とファウンドリサービスを行っていたが、今年5月に分社化の意向を明らかにし、会社設立の準備をしていた。新会社は今後、親会社の支援により、設備投資を行い、研究開発力も強化し、より微細なプロセスに対応できる体制を敷く予定である。

Samsungもファウンドリ事業を強化

ライバルであるSamsung Electronicsも去る5月に、システムLSI事業部の中にあったファウンドリ事業を強化のため、同事業部から分離独立、昇格させ、ファウンドリ事業部を新設した。同社の半導体部門は現在、メモリ事業部(DRAMやNANDの量産)、システムLSI事業部(社内ユーザー向けのシステムLSI製造を担当)、ファウンドリ事業部の3事業部制となっている。

Samsungのファウンドリ事業は、300mmウェハを用いて先端の微細プロセスをQualcommやAppleなどの先進ファブレスに提供するビジネスが中心であるが、2016年から200mmファブでのレガシープロセス(先端から見て数世代以上古いプロセス)を用いた多品種少量ファウンドリビジネスにも力を入れており、先端だけではなくすべての分野でファウンドリの顧客獲得を狙っている。Samsungは200mmウェハ1枚に複数の顧客の種類の異なる半導体回路パターンを搭載して多品種少量生産する「MPW(マルチプロジェクトウェハ)シャトル」サービスを始めている。

今回のSK Hynixのファウンドリビジネスの強化は、このようなSamsungのファウンドリビジネスのレガシー分野への侵攻に対抗するためといわれており、両社は非メモリビジネスでも火花を散らすことになりそうだ。