ピュア・ストレージは7月12日、都内で記者会見を開き、企業のイノベーションとビジネスの変革を促進するためのクラウド時代に適したデータプラットフォームのビジョンを発表した。新しいプラットフォームでは、25以上のソフトウェア新機能の追加と、ハードウェアの包括的なアップデートを提供する。会見には米国本社から製品部門副社長のマット・キックスモーラー氏が出席した。
今回、データプラットフォームのビジョンとして、ソフトウェアとハードウェアのアップデートを発表。そのポイントして、新しいTier1ストレージの定義、ビッグインテリジェンス、自律コンピューティングの3つを挙げた。
新しいTier1ストレージの定義に関しては、同社のFlashArray製品ラインのための新しいソフトウェア「Purity//FA 5.0」を発表し、クラウド世代のミッションクリティカルなワークロードのニーズを満たすべく、従来のTier1ストレージを再定義したものとなる。
新機能の「ActiveCluster」はアクティブ/アクティブなクラスターソリューションとなり、可用性を拡張し、データセンターやメトロエリア全体におけるビジネス継続性を提供するという。また、複数のワークロードを単一のFlashArrayに統合するため、あるいはサービスプロバイダーのビジネスモデルを実現するために必要となる「ポリシーベースのQoS」や、パブリッククラウドとの間でスナップショットの移動を行うための新機能「Purity CloudSnap」が含まれている。
さらに、VVOL機能も有しており、すべてのVM(仮想マシン)を個々に管理することを可能とし、スナップショット、複製、QoSなどをVM上で運用することができる。同社では、これらのソフトウェアの新機能に加え、4月に発表した完全NVMe対応のDirectFlashモジュールを基に開発した「DirectFlash Shelf」を発表。完全NVMe対応の既存製品である「FlashArray//X」において本体シャーシを越える拡張と、専用の50Gb/s RoCE v2 NVMe/Fを介したNVMe拡張が可能になり、28×DirectFlashモジュール、最大物理容量が512TB、実効容量が1.5PBとなる。
キックスモーラー氏は、Purity//FA 5.0について「ストレージの最も高い信頼性を考えた際に、必要となるのは同期のレプリケーションではないか。この技術は20年前から存在するが、現在では最も複雑かつ高価なものとなっているため、追加費用・ハードウェアは不要で簡素化を図ることが可能なActiveClusterを提供する。ポリシーベースのQoSはアプリの重要性を特定することを可能としているほか、リミットを設けている」と、説く。
ビッグインテリジェンスに対応したFlashBlade製品ラインをアップデート
同社のストレージプラットフォーム「FlashBlade」は、ビッグデータを高速データに進化させ、反復リアルタイム分析、高度な人工知能と機械学習、あらゆる規模のデータの徹底したシミュレーションを支援するとしている。
今回、FlashBladを単一システムとしてブレード75基、8PB(20U)まで拡張を可能としており、高速・大量のデータの処理に対応し、読み取りは75GB/S、IOPSは7.5Mを有する。また、リッチメディア、ヘルスケア、最新の分析技術の分野に対する可能性を引き出すオールフラッシュS3オブジェクトストアのほか、既存の8TBおよび52TBの構成に、新たに17TBのブレードをラインアップに加えた。
ビッグインテリジェンスに関して、キックスモーラー氏は「AIと機械学習の分野は興味深く、多くの産業が影響を受けている。これはAIのビッグバンと呼ばれ、並列コンピューティング技術や最新のアルゴリズム、ビッグデータの活用が相まって生まれたニーズだ。しかし課題もあり、これまではAI向けの要件に耐えられるストレージが存在しておらず、顧客の意見としてフラッシュブレードは大型・高速ではあるものの、さらに大型・高速化しなければ、これからのアナリティクスには耐えられないと危惧していた」と語っており、今回のアップデートにより対応を可能としている。
自律稼働するストレージ
同社によると、クラウドはコアデータセンターやデータ量、遅延の問題によりローカル処理を必要とするエッジデータセンターなど、さまざまな用途で利用されているほか、マルチクラウドのIaaSやSaaSプロバイダーにおいても活用されているという。
クラウドがどのようなタイプで拠点をどこに置くかにかかわらず、同社のデータプラットフォームはVMwareのVVOL、MicrosoftのODX、Dockerの永続コンテナ、パブリッククラウドプロバイダーとのネイティブなデータ保護統合、クラウドへの応答時間短縮のための検証済みFlashStackソリューションをはじめ、最新の技術との連携により、マルチクラウド環境におけるストレージをシンプルなものにするとしている。
このような状況を踏まえ、同社は人工知能(AI)プラットフォーム「Pure1 META」を発表、同プラットフォームは1日当たり1兆のアレイ上のテレメトリデータポイントを収集・分析することにより、グローバルな予測インテリジェンスを提供し、管理、分析、サポートを容易にするという。また、同プラットフォームが生成する新しいWorkload DNAにより、顧客がストレージ容量やパフォーマンスに対するニーズを予測し、ワークロードの展開、相互作用、最適化に関わるインテリジェントなアドバイスを得ることを可能にする「Workload Planner」も備える。
METAについては「AIと機械学習を活用することで、より良いストレージエクスペリエンスを提供できると考えている。例えば、自動車は多くの自動化を実現しており、消費者が安全の面で信用することが始まっており、モデルを構築するのは簡単だが、実際に周りの障害物を検知・変化を感知するのは難しいことがある。ストレージでも同様のことが言え、管理が難しいのではなく、管理者として特にクラウド上の環境であれば、どのようなアプリがストレージ上に搭載されていて、どのような行動を起こすのか把握することが難しいのだ。われわれはストレージ上のアプリをAIの利用により、理解するということに着目した。われわれは1日当たり1兆以上のデータポイント、7PB以上のテレメトリデータ、数千のアレイと接続しており、リアルタイム分析で問題を未然に防ぐことを可能とした」と、キックスモーラー氏は説明していた。
そして、同氏は「われわれがデータプラットフォームを考えるにあたり、コア、エッジ、マルチクラウドをポイントとした。データ管理を複数領域において統合できることが強みだ。われわれが実施したグローバル調査の結果によると、データ化がデジタル化の駆動要因になることに対する大きなニーズがあり、日本では企業の48%が収入の半分以上をデジタル関連のビジネスから得ており、デジタル経済への企業の移行が世界に先駆けて起こっている。デジタルはコスト削減や新しいサービスのイノベーションにもつながるため、ITコストを低減しつつ、新たに顧客を引き込めるサービスが作られており、デジタル化に移行する際は可能な限りシンプルであることが欠かせないだろう」と述べた。