ジャパンディスプレイ(JDI)とNHKメディアテクノロジー(MT)は7月12日、両社が2017年5月に米国で開催された電子ディスプレイの国際学会「SID DISPLAY WEEK 2017」にて展示を行った8K液晶ディスプレイをベースにして開発された裸眼による立体視を可能とする「17型ライトフィールドディスプレイ」の国内公開を行った。

人間の目が物体を見る仕組みは、簡単に言うと、対象の物体に光があたり、その物体が反射した光を認識することで成立する。立体視におけるライトフィールド方式は、物体がさまざまな方向に放つそうした光の線をディスプレイによって再現することで立体的に見せようという技術であり、3Dメガネを必要としない、といったメリットがある。

今回開発されたディスプレイは、8Kの高精細画像技術をベースとすることで、立体感を強化したほか、視野角を約130°にまで広けることで、複数の人が一度に見ても立体的な映像を認識できるようにした。

ディスプレイの仕組みとしては、簡単に言うと、8Kディスプレイと、新たに開発された次世代3D映像技術を組み合わせ、画素ごとに光線の角度を制御することで、見る角度や場所に応じて、物体が映し出される具合を変えることで物体を立体的に認識させるというもの。

ライトフィールド方式の立体視イメージ

実際のデモとしては、スチルカメラを用いて撮影された実写のコンテンツ、ならびにCGで描かれたコンテンツの双方が用意された(いずれも静止画)が、スチルカメラの画像は、ターンテーブルの上に対象物を置き、角度を変えつつ撮影を行い、それをコンピュータ処理をして組み合わせるほか、奥行きや光の方向性などのパラメータの調整を行うことで実現したという。そのため、現時点では、そうした映像最適化技術と、JDIのディスプレイの組み合わせのみで、立体視を楽しむことができる状態で、他社が同一仕様のディスプレイを用意しても、画像を取り直す必要などが生じる段階であり、今後、さらなる研究を進めていく必要があるとしている。

実写コンテンツの1つ「だるま」。上段左がディスプレイ正面から見た映像。上段右はだるまの実物。下段左はディスプレイを左から見た映像。下段右は同じく右から見た映像。見る場所によって、3つのだるまの焦点や角度が異なることが見て取れる

なお、CGについては、そうした特性の理解などが進んできているとのことで、今後は近い将来でのCG動画の再生を目指すとしており、用途開拓なども含めて、実用化を目指して開発を進めていきたいとしている。

こちらはCGのコンテンツを正面と右から見たもの。向きの違いがわかりやすい