SAP Hybrisは7月10日に、日本国内の消費者を対象とした、企業側の顧客対応に関する意識調査「消費者インサイトレポート」を発表した。

デジタル化の進展に伴い、企業が取り扱う顧客データやユーザーとの接点が増加している。そのような状況の中で消費者がブランド企業に求めているものは何か探るため、同社は1000人を超える日本人消費者を対象に、データ収集、顧客対応、個人情報の保護、接客などに関する消費者インサイト調査を実施し、レポートとして結果をまとめた。

同レポートによると、消費者がブランド離反を起こす理由は「本人の許可なく顧客データを使用」することが84%と最も多く、「不必要な迷惑メール」が76%、「カスタマーサービスの対応の悪さ」が71%と続く。

消費者のブランド離反理由

日本の消費者は個人情報を企業に提供するものの、取り扱いに対しては敏感

近年、企業はさまざまな個人情報データを消費者から収集することが少なくない。同レポートにおいて、ブランド企業に個人情報を提供するかという問いに「はい」と答えた消費者は52%にのぼった。提供可能な情報としては、メールアドレスが32%で最も多く、購入履歴・嗜好の情報が24%、リアルタイムの位置情報が15%と続く。携帯電話番号は11%であり、情報の提供に対して慎重になっていることがわかる。消費者はまず少量の個人情報を提供し、安全かどうか確かめたいと考えているのだという。

消費者は個人情報を提供する一方で、企業の情報の取り扱いについては半数以上が重要だと感じており、実際に日本人消費者の80%以上がブランド企業が本人の許可なく顧客データを利用した場合、そのブランドとの関係を断つと回答している。

消費者が提供する個人情報

消費者は企業に対して個人情報の有効活用を求める傾向が強い

続いてブランド離反の大きな理由となっている「不必要な迷惑メール」について同社は、個人情報を提供する見返りとしてパーソナライズされた情報の提供を消費者は求めていると分析。消費者は過度なセールス・勧誘電話やダイレクトメールが嫌いであり、収集したデータを活用して消費者に関連性のあるコンテンツを送信することが重要だとしている。

パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスとして何を求めるかという問いに対しては、半数以上が割引や無料サンプル提供などが挙げられた。そのほか無料ワークショップ、試供品、リソース提供といった付加価値の提供、購入履歴を把握して問い合わせに適切な対応がされることなども消費者は重要視しているという。

消費者がブランド企業に求めること

スピーディな顧客対応が消費者の信頼を獲得する

ブランド離反の理由にある「カスタマーサービスの対応の悪さ」については、同レポートから日本の消費者の半数以上は問い合わせから3時間以内の返信を期待していることがわかった。少なくとも24時間以内に対応してほしいと考えている消費者は83%にものぼる。

近年、SNSがカスタマーサポートの窓口としての役割を果たすようになり、ユーザーと企業の接点が増えるにつれて、より迅速な顧客対応が求められるようになってきているのだという。同社は優れたカスタマーサービスを実現できなければ、ほかのブランドに顧客を奪われてしまう可能性が高いと分析している。

消費者が期待する企業の顧客対応に要する時間

同社では、日本市場で顧客の心をつかむために必要なこととして、エンドツーエンドのオムニチャネルソリューション活用を挙げている。業務プロセスの自動化や顧客とのタッチポイント増加などを通じて顧客中心のアプローチを実践していくことで、市場での信頼獲得とブランド価値の確立が可能になるとしている。