「AI・人工知能EXPO」の会場には、ひとつの代表する企業がアライアンスを組むパートナーとともにブースにて展示を行っているケースも見受けられる。今回ご紹介するのは、船舶用推進器のトップメーカであるナカシマプロペラからシステム事業部門が分離して誕生した総合インテグレーション企業のシステムズナカシマだ。
システムズナカシマブースで展示されていたのは、「AI×営業」と題されたAIによる売上予測と営業活動支援を実現するソリューションや、「AI×図面」と題し電気や水道設備図面上に手書きで書かれた部品をAIによってCAD図形部品へと自動変換を行うなど、AIで業務課題を解決に導くソリューションを提案していた。そのほかにも、ドローンとAIを組み合わせカメラ映像をリアルタイムで解析し、物体検出を行い自動航行を実現するソリューションや、AIを利活用したセキュリティソリューションなどが展示されていたが、筆者がもっとも興味を惹かれたのは「AI×分類・予測」と題された「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」だ。
この「MAGELLAN BLOCKS」、何が筆者の興味を惹いたのかと言えば、「専門知識は不要、ブロックをつなぐだけ」という本製品の特徴を表しているキャッチコピー。機械学習に興味はあっても専門的な知識がない、勉強してチャレンジしてみたいけど何から手を付ければよいのかわからない、そういった技術面・スキル面の障壁をグッと引き下げるギミックが「MAGELLAN BLOCKS」には用意されている。それは、目的や機能に応じたブロックを組み合わせていくだけで機械学習の利用を可能としているのだ。利用用途としては、過去のデータをもとに様々な条件下での数値を予測する「需要予測」、対象のデータがどの分類に当てはまるかを予測する「分類予測」、画像に写っている物が何か、その画像内に何人の人が写っているか等を抽出できる「画像解析」、音声データをリアルタイムでテキストに変換可能な「音声解析」、ソースとなる言語で書かれた文章をターゲットとなる言語へ変換することができる「言語翻訳」、その文章が何について書かれているのか、文章に秘められた感情を分析することが可能な「自然言語解析」など。
しかも、専門のコンサルタントに依頼して分析を行ってもらったとしても、もたらされるのは結果のみ。そんな場合に「MAGELLAN BLOCKS」を用いれば、DIY(DoItYourself)で手軽にトライ&エラーを繰り返せるためナレッジを自社内に蓄積することも可能となる。
こちらが「MAGELLAN BLOCKS」のサービスWebサイト。原稿執筆時点では、今なら30日間「MAGELLAN BLOCKS」を無料で試すことが可能なトライアルを実施している。興味がおありの方はWebサイトより申し込んでみてはいかがだろうか |
さらに嬉しいのが、スモールスタートとして始められるリーズナブルな料金設定で提供されているということ。「MAGELLAN BLOCKS」を利用するためにはGCP(Google Cloud Platform)が必要なのだが、フルサービスプランであればGCPの環境構築や各種設定等を行わなくても申し込むだけですぐに利用を開始することができる。もちろん、既にGCPを利活用している方向けにセルフサービスプランも用意されている。
気になる価格は、機械学習を試すことが可能な「Machine Learningボード」は100,000円(月額)、そのほか、データの処理の流れをデザインする「Big Dataボード」20,000円(月額)と各種センサ等の情報を収集できる「IoTボード」10,000円(月額)。これらを組み合わせることにより、自社で実現したいサービスや課題の解決に役立てることが可能なのだ。
ブロックの組み合わせで機械学習を実践することができるという「MAGELLAN BLOCKS」の手軽さは、MITメディアラボで提供されている「Scratch」にも通じるところがあると筆者は感じている。「MAGELLAN BLOCKS」によって、機械学習がより身近に、あらゆる人が自由に利活用できる物になってくれることを願ってやまない。