IDC Japanは7月10日、国内CRM(Customer Relationship Management)市場を調査し、2016年の同市場の分析と2017年~2021年の市場予測を発表した。これによると、2017年以降の同市場は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の台頭や顧客情報の分析/マーケティング自動化需要などの要因により、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は5.0%で成長し、2021年には1195億3000万円の規模になると予測している。
同社では国内CRM市場を「コンタクトセンターアプリケーション市場」「カスタマーサービスアプリケーション市場」「マーケティングアプリケーション市場」「セールスアプリケーション市場」の4つの機能市場に分類して、それぞれの市場について個別に市場予測を実施した。
その結果、2016年の国内CRM市場規模は前年比3.7%増の938億5300万円となり、クラウドサービスが市場の中心であるマーケティングアプリケーション/セールスアプリケーションが市場成長を牽引したという。マーケティングアプリケーションでは、消費者/企業購買担当者のデジタル化の進行、オムニコマースの進行により、デジタルマーケティングの需要が拡大し、同11.1%増の成長を達成している。
また、セールスアプリケーションでは、既設ユーザー企業での更改時のユーザー数拡大、従来導入されていなかった中堅中小企業へのタッチポイントの拡大がみられ、前年比4.1%増と堅調な成長を遂げた。一方、コンタクトセンターアプリケーション/カスタマーサービスアプリケーションは、2015年と比較して大型案件が少なく、2016年はプラス成長を維持したものの、成長率が鈍化したという。
同社の、グループディレクターである眞鍋敬氏は「国内CRMアプリケーション市場が今後も成長を継続するために、ITサプライヤーは、既存CRMアプリケーションへのコグニティブ/AIシステム連携製品/サービスの開発、東京オリンピック/パラリンピックの開催に向けた顧客サポート需要への対応を積極的に行っていくべきである」と分析している。