生鮮食品卸売を手がける日本卸売市場は7月6日、はこだて未来大学などとともに、人工知能(AI)やIoTの活用で漁場・漁獲を予測するシステムの共同研究を開始したと発表した。日本卸市場は同社の所属しているいずみホールディングスが持つ水産卸業のノウハウを取りまとめ、公立はこだて未来大学などに対して情報や物流システムを提供。水揚げされた商品などを販売する。
同研究では、過去から現在に至る全国の水揚げデータをAIで分析することにより漁場を予測する「漁場予測システム」と、IoTを活用して定置網用の魚群探知機から得たデータをAIで分析することで漁獲を予測する「漁獲予測システム」についての研究を行う。
また、同研究のシステムで用いられるデータのうち、「定置網に設置した魚群探知機の音響データ」を元にした「漁獲予測システム」に関しては2018年3月に精度80%まで高め、実用化を目指すとしている。
システムが実現すれば、漁業者の効率的な出漁計画立案や流通事業者の計画的な仕入れ・販売による利益率の向上、小型クロマグロなどの保護対象魚種の漁獲回避による資源保護、漁業者・流通事業者の経営最適化、最大で24時間早く飲食店・量販店に対して出漁・仕入れ情報の提供などが可能になるという。
同研究を通じて、生産者である漁業者と流通事業者の経営最適化を支援することで北海道における水産業の振興に貢献するとしている。