台湾のAppierは7月5日、AIによりオーディエンス分析・予測を行うデータインテリジェンスプラットフォーム「アイソン(AIXON)」の国内提供を開始すると発表した。
アイソンは企業が保有するデータと、同社独自のデータベース「Cross X AI」を統合し、AI技術によりオーディエンスの予測分析に利用することが可能。企業はアイソンを使って特定のオーディエンスデータを出力し、自社のCRMシステムと連携したり、広告配信プラットフォームを通じてマーケティング施策を展開したりすることができる。
提供対象は、Eコマース、不動産、パブリッシャー、アプリ事業者を想定している。
プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのマジック・ツー氏は、同社のテクノロジーの特徴について、「オーディエンスを理解する上で、どの企業にとっても、インターネット上の挙動をとることが重要。そこで、われわれはアジアにおいて20億以上のデバイス上のトラッキングを行うデータベースを構築し、これに独自AIエンジンをかけ合わせることで、複数のデバイスを使いこなすユーザーの行動分析を実現している」と説明した。
デバイスのトラッキングを行うデータベースのデータは、パブリッシャーのもの、データプロバイダーのもの、自社でWebから収集したデータで構成されているという。
ツー氏は、「異なるデバイスのトラフィックを同一のユーザーにマッピングすることは難しいが、われわれはマシン・ラーニングを活用することで、これを実現している」と語った。
同社は台湾に本拠を構えるが、アジアを中心に活動している点も特徴の1つだ。東京を含め、アジアに14の拠点を展開している。今年7月には、大阪オフィスを開設した。
ツー氏は同社の強みについて、「顧客がデータについて抱える課題を解決できるAIを提供している点」と述べた。具体的に、同社のAIは、手でやることは難しいデータ収集・保存を容易に行うとともに、自動でモデル構築と検証を実行し、データのインサイトと予測を継続的に実施できるという点でアドバンテージが高いという。
「アイソンでは、新たなデータが入ってきたら、容易にインサイトと結びつけることができる」とツー氏。
アイソンの詳細については、エンタープライズソリューションセールス ディレクターの松崎亮氏が説明した。
松崎氏は、アイソンの強みとして「自動的に異なるフォーマットのオーディエンスデータの入力・クレンジング・一元化が可能な点」「データは毎日更新され、AIによる新鮮なオーディエンス予測分析が可能な点」「ユーザーのシステムにもエクスポートできるオープンなフォーマット」を挙げた。
アイソンはコンバージョン予測、離脱予測など、予測分析モデルのテンプレートが9種類用意されているため、分析にかかる工数を抑えることができるという。
松崎氏はアイソンの活用例として「新規獲得」「アップ/クロスセル」「リテンション」を挙げ、「アイソンでは、ユーザーが所有するデータに加え、外部データを活用することで、分析の精度を高めることができる」とアイソンならではのメリットをアピールした。
台湾のコモンウェルスマガジンをはじめ、既に出版社、不動産、Eコマースで導入済みであり、国内ではGMOペパボが導入を決定しているという。