アナログ・デバイセズは、同社のスマート農業システムを活用し、イチゴ専門農家の村田農園においてイチゴの生育環境データの可視化実証実験を完了したことを発表した。
同実証実験は、最高級イチゴの最適な生育環境を可視化し、生産量増加を図るために行われたもの。50棟規模のビニールハウスを持つ村田農園は、大きくて高品質のイチゴを、有名果実店、製菓店やホテルなどに提供している。一定基準を満たした最高級イチゴの生産量を増やすためには、最適な生育環境を保つ必要があり、温度や湿度、二酸化炭素濃度、照度などの生育環境データを頻繁に計測する必要があるが、計測作業の負荷が大きいということが課題のひとつとなっていた。
そこでアナログ・デバイセズは、イチゴの温室内に複数個のIoTセンサーノードを設置し、継続的に生育環境をモニタリングする実証実験を行った。そして、従来は作業者が都度温室内を訪れて計測していた環境データを、自動的に計測し、PCやスマートホンで遠隔モニターできるシステムを開発した。
開発されたシステムは、小型の無線センサーノードで、ARM Cortex-M3マイコン、温度センサーなどが搭載されている。低消費電力のため、単3電池4本で駆動することができ、Wi-SUN 920MHz帯域を利用した通信機能が装備されている。搭載された920MHz Wi-SUNモジュールは、有線通信に比べ、設備敷設が容易かつ安価で、480MHz帯域に比べデータ伝送量が多いため、スマート農業に適しているという。また、システム構築にあたっては、 クラウドはアマゾンウェブサービスジャパン、 IoTシステム・インテグレータはCF-K、フィールドデバイス組込みソフトウェア開発はアルティエックスイノベーションズといった、実績のあるサード・パーティと連携して行われた。
今回の実証実験を踏まえ、今後、さらにデータを蓄積すれば、生育環境がより鮮明になり、これを再現することで最高級イチゴの生産量が増大することが期待されている。同社は、今回得られた知見を活かし、小型かつ低消費電力で設置の容易なセンサーノードを、日本のスマート農業に活用していくということだ。